国土交通省は、本年7月に中央建設業審議会(中建審)が改定した公共工事標準請負契約約款の内容を、10月1日以降に入札手続きを開始する直轄工事の契約に反映させることを決めた。9月6日付で事務次官が各地方整備局などに通達した。これに合わせて、新たな工事請負契約に際しての運用基準も大臣官房長名で提示。現場代理人の常駐が不要な期間として、「契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入、仮設工事などが開始されるまでの期間」などを例示した。
公共工事標準請負契約約款は、中建審が入札契約制度改革の一環として、契約当事者間の対等性を確保する観点から見直した。具体的な改定内容は、▽現場代理人の常駐義務緩和▽協議段階での調停人参加規定の追加▽「甲」を「発注者」、「乙」「請負者」を「受注者」に呼称を変更▽暴力団排除規定の追加―などとした。今回の通達は、こうした約款の改定内容を工事請負契約書に反映させるためのものだ。
新たな運用基準では、現場代理人の常駐義務規定をめぐり、▽契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入、仮設工事などが開始されるまでの期間▽橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーターなどの工場製作を含む工事であって、工場製作だけが行われている期間▽一定の要件で工事の全部の施行を一時中止している期間▽このほか工事現場で作業が行われていない期間―を「現場代理人の工事現場における運営、取り締まり及び権限の行使に支障がないもの」として取り扱うことにした。
また、協議段階で調停人を活用できるよう、「受発注者は申し出により、協議に調停人を立ち会わせ、協議が円滑に整うよう必要な助言、意見を求めることができる」との規定を設けた。
このほか、特約の扱いだった談合などに対する違約金条項を契約書に一本化することにした。
提供:建通新聞社