日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は、3日の理事会後に会見し、急激な円高や内需の低迷が続く中、国内の景気の建て直しについて「成長促進型の公共事業を前倒しして執行すべき時であり、ほかに有効な政策手段はないのではないか」との考えを示した。その上で、「日本をしっかりとした成長軌道に乗せるためには、今こそわが国の経済発展にとって真に必要とされる高速道路や新幹線などの公共事業を執行すべき」と主張。事業資金については、「国費などの財源のほか、民間借入金(資金)の活用も考えられる」と述べた。
これまで土工協では、資本整備のグランドデザインの早期作成と実施、雇用確保のための景気対策の必要性を強く訴えてきた。それらを踏まえ中村会長は、「最近の内外の経済情勢をかんがみると、もう一段の景気対策、円高対策を早急に実施しなければ、日本経済は景気の二番底に陥る」との懸念を示した。
成長促進型の公共事業とは、「流通コスト、エネルギーコストを減少し、採算が取れるプロジェクト」と定義。流通関係では、高速道路、新幹線、リニア新幹線、ハブ空港、ハブ港湾などを例示。エネルギー関係では、ソーラー発電、クリーン型エネルギー事業などを挙げた。
理事会では土工協、日本建設業団体連合会(日建連)、建築業協会(BCS)の3協会の合併についても議論。新協会の名称や、会費、現在の各団体の理事会の扱いなどについて意見を交わした。合併後の新協会の名称について中村会長は、「今月中にも明らかにできるのではないか」と話した。
3協会は、12月初旬に合併契約を締結。同月中旬に合同臨時総会を開き、定款変更などについて議決する予定。翌11年4月1日に合併の登記を行い、4〜5月の通常総会で新協会の役員を選ぶ見通し。
提供:建通新聞社