政府は30日、経済関係閣僚委員会を開き、デフレ脱却を目標とする経済対策の基本方針を決めた。新成長戦略を加速させるため、首相を議長とする「新成長戦略実現推進会議」(仮称)を設置するほか、工場・事業場などの国内立地促進に向けた対応策を「日本国内投資促進プログラム」として10月にもまとめる。具体的な施策としては、住宅エコポイント制度や優良住宅取得支援制度(フラット35S)の延長、中小企業への金融支援、病院などの耐震化対策などを盛り込んだ。9月10日の正式決定を目指す。
経済対策の基本的な考え方として、「需要面を中心とする政策により、2011年度中に消費者物価上昇率をプラスにし、速やかにデフレを終結させ、日本経済を本格的な回復軌道に乗せる」ことを経済運営の当面の目標に掲げた。デフレ脱却の基盤づくりに向けては、▽雇用▽投資▽消費▽地域の防災対策▽規制・制度改革―という五つの柱を位置付けた。
雇用面では、子育て、医療・介護、環境、農業、林業といった潜在的な需要を持つ分野で雇用創出の取り組みを推進するとともに、中小企業の金融支援を通じて雇用を確保する。投資面からは、本社機能や工場の海外移転に伴う国内の空洞化を食い止めるため、中小企業の技術開発や海外販路開拓を支援する。
消費面では、景気下支え効果が大きいエコ関連の家計需要支援策である住宅エコポイントや優良住宅取得支援制度(フラット35S)を延長する。地域の防災対策としては、国民生活の安全に直結する病院などの耐震化や、ゲリラ豪雨対策などに取り組む。
経済対策の財源は、約9200億円の「経済危機対応・地域活性化予備費」を充て、9月中に措置を講じる。今後の景気・雇用動向を踏まえ、必要な場合には補正予算の編成を含め機動的・弾力的に対応する方針も示した。
提供:建通新聞社