2010/08/02
新たな下請代金債権保全策 支払ボンド方式で公的再保証システムの必要性など提示 国交省
国土交通省の「新たな下請代金債権保全策検討委員会(座長・大森文彦東洋大学教授)は30日の会合で、支払ボンド方式を活用して下請け代金を保全する仕組みの在り方を議論した。この中で支払ボンドの円滑な導入に向けた主な論点として、公的再保証システムなどリスクを軽減・分散させるシステムの構築や、ダンピング対策・書面契約の徹底といった環境整備などの必要性を示した。委員会では8月にも中間報告をまとめる方針だ。
この検討委員会は、下請けの連鎖倒産を防止する手法を検討するためことし6月に設置された。日本の法体系になじむ手法として、信託方式と支払ボンド方式の2方式を軸に検討を深めることにしており、前回の会合では信託方式の制度設計を議論した。
今回、検討の対象となった支払ボンド方式は、元請けと損害保険会社などが下請け代金の支払いに関する契約を結び、倒産時には損保会社などが下請けに代金を支払う仕組みを想定。下請けへの確実な支払いが可能となるものの、保険料が高額になるといったデメリットも指摘される。
こうした観点を踏まえ、検討委員会では▽ボンド引き受けに伴うリスクを分散する仕組みの構築▽ボンド引き受けに必要な機能と引き受け機関▽引き受けリスクを抑えるための措置▽契約・取引のさらなる適正化を通じた導入環境の整備―を主な論点に設定した。
リスク分散に向けては、アメリカなど諸外国の事例を踏まえ、巨大な損害が生じた場合に備えた公的な再保証システムの必要性を指摘。また、ボンド引き受け機関には元請けの信用リスクを審査するとともに、下請けの出来高を査定する機能を求めることとした。こうした条件を満たす引き受け機関として、▽民間金融機関が直接支払ボンドを引き受ける▽新たな引受機関が支払ボンドを引き受け、民間金融機関はこれを補完する―のいずれかの手法を検討していく。
引き受けリスクを抑えるための措置として、当面の保証対象は契約書面や施工体制台帳・施工体系図によって明確になっている一次下請けに限定した上で、元請け1業者当たり・工事1件当たりの保証上限額や適切な付保割合を設定する考え。さらに、元請け倒産時に保証金額の増大を防ぐため、ダンピング対策や書面契約、元下間の月次・出来高払いを促進していくべきとした。