国土交通省は、一定規模以上の建物を新増築する際に駐車場(駐車施設)の設置を義務付ける「付置義務制度」を見直す方針を、22日に開いた社会資本整備審議会・都市計画制度小委員会に示した。駐車場の集約配置が効果的な場合、各敷地に駐車場を設置する代わりに共同駐車場の設置などへの協力を義務付ける一方、集約配置の方針にそぐわない、小規模な駐車場の設置などを制限できるようにする考えだ。
駐車場の付置義務制度は、駐車場法などに基づき各自治体が条例で定めている。2009年3月末現在、駐車場供用台数約419万台(住宅分などを除く)のうち6割は付置義務によるものとなっている。駐車場の量的な充足に伴い、付置義務基準の緩和や弾力的な運用に乗り出す自治体も増えつつあるが、条例による対応には一定の限界があるのが現実。こうした状況を踏まえ国交省は、地方自治体の条例による基準緩和や弾力的な運用を後押しする仕組みが必要と判断した。
制度の見直しに当たって、駐車場の量的な充足を前提として効果的・効率的配置が可能な場合には、各敷地での確保に代え集約的な配置を誘導し、その実現を担保できる仕組みを整える。集約的な配置が決まった地区では、この方針にそぐわない駐車場を、小規模なものや非建築物を含めて制限する考え。非建築物への設置制限には、事前の設置計画の把握や調整のための手続きが必要とした。
また、総合的な交通体系の在り方を示す交通基本法制定の動きが進んでいることから、自動車交通に加え、歩行者、自転車、公共交通などを見据えた総合的な交通・空間計画の中で、駐車場の計画的な配置を検討していく必要性も指摘した。
提供:建通新聞社