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2010/07/15

個別ダムの検証手法を明確化 国交省の有識者会議が中間報告

 国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長・中川博次京都大学名誉教授)は13日、今後の治水対策の方向性を示す中間報告案をまとめた。個別ダムの検証に当たっては、ダム案とダム以外の案を立案した上で、コストや実現性、環境への影響など総合的に評価し対応方針を決める。こうした手法から乖離(かいり)した検討が行われた場合は、国土交通大臣が事業主体に再検討を指示・要請する考えも盛り込んだ。中間報告案に対する一般からの意見を募集した上で、8月にも中間報告を固める。その後、各地で個別ダムの検証作業が本格化することになる。
 この有識者会議は、前原誠司国交相が提唱する「できるだけダムに頼らない治水」という政策を具体化しようと、2009年12月に設置された。検証対象となるダム事業は、国直轄の26事業、水資源機構の5事業、都道府県の53事業を想定している。
 13日にまとめた中間報告案では、今後の治水対策の方向性や個別ダムの検証手順などを明確化した。この中で個別ダム検証の理念として、▽治水対策案は河川整備計画の目標と同程度の治水安全性を確保する▽河川や流域の特性、重要度などを考慮して治水対策を立案する▽時間的・財政的な制約などを加味した評価軸で治水対策を比較する▽目標とする安全度を満たすことを条件にコストを最も重視して評価する―ことなどを掲げた。
 具体的な検証方法としては、事業主体である地方整備局や水資源機構、都道府県などが2案〜5案程度の治水対策案を立案した上で、それらを▽安全度(被害軽減効果)▽コスト▽実現性▽治水効果の持続可能性▽気候変化などに対する柔軟性▽地域社会への影響▽環境への影響▽流水の正常な機能維持への影響―といった評価軸に沿って、総合的に評価する。多目的ダムの場合は、利水の観点からも検討を加える。検証結果は国土交通大臣に報告する。検証が終わるまでは次の段階に入る工事の予算は措置しない。
 検証結果の報告を受けた国土交通大臣は、中間報告の考え方に沿って検討されたかどうかを有識者会議にチェックさせた上で、国交省としての対応方針を決定する。

提供:建通新聞社