地籍調査の促進に向けて国土交通省は、地籍調査作業規程準則を定めた省令を見直すことを決めた。土地所有者などの所在が判明しない場合でも、筆界を明らかにする客観的な資料が存在すれば、所有者などの確認なしで調査ができるようにする。また、地籍測量に必要な作業の一部を省略し、新たな測量機器・測量手法の導入を可能とする。
地籍調査は、一筆ごとの土地の境界や面積、所有者などを明確にするもの。1951年に制定された国土調査法に基づき市町村が実施主体となって進めてきたが、土地所有者への境界確認への立ち会い要請など、調査に手間がかかるため、進ちょく状況は目標の半分にも届いていないのが現状だ。
このため国交省は地籍調査を円滑に進める観点から、地籍調査の作業内容などを定めた準則を見直すことにした。
地籍調査の現地調査に当たっては、土地の所有者などの所在が判明しない場合であって、筆界を明らかにする客観的な資料が存在するケースには、関係行政機関と協議の上、所有者などの確認を得ずに調査ができることとする。
また、これまで地籍調査は@地籍図根三角測量A地積図根多角測量B細部図根測量C一筆地測量―の順に作業をすることが必要とされていたが、測量技術の発達により作業の一部を省略しても精度が確保できるようになったため、@〜Bのすべて、または一部を省略可能とする。これによって、ネットワーク型RTK−GPS測量など新たな測量機器・測量手法の導入が可能となる。
さらに地籍測量の手法として、GPSなどを利用した新たな単点観測法を導入。これに伴い、単点観測法による一筆地測量に当たり、▽観測に使用する測位衛星(GPS衛星)の数は5以上▽受信高度角は15度以上―にするといった基準を明確化する。
提供:建通新聞社