国土交通省は、民間事業者の幅広い環境貢献措置を評価し、都市再生事業などで容積率を緩和する新たな仕組みの方向性をたたき台としてまとめ、24日の社会資本整備審議会・都市計画制度小委員会に示した。この中で、評価対象となる環境貢献措置に、容積率を緩和する地区とは離れた場所での緑地保全・創出などを含める方針を提示した。モデルプロジェクトを民間事業者から公募することも視野に入れている。
環境貢献措置を評価して容積率を緩和する取り組みは、5月に策定した国土交通省成長戦略に「大都市の枢要地区で、従来の容積率規制にこだわらず、民間事業者の都市の成長に寄与する幅広い環境貢献の取り組みを評価して容積率を大幅に緩和する」との考え方が盛り込まれたことを踏まえ、国交省が制度設計に乗り出した。
同省のたたき台によると、プロジェクト対象地区は大都市枢要地区を想定。評価対象となる環境貢献措置は、▽都市計画の目的の実現に実質的に寄与する▽評価される取り組みの効果が長期間にわたり継続する▽離れたエリアでの貢献措置のうち、都市全体の都市環境の改善、魅力や機能向上に役立つ―といった要件を満たし、都市計画決定権者が認めるものと位置付けた。具体的には、緑地の保全・創出、歴史的建造物の保存、必要な都市機能の配置・整備などを例示した。
また、容積率の緩和割合は、都市の魅力や国際競争力の向上といった都市再生の効果に着目した柔軟な考え方の下で都市計画決定権者が決定するとした。対象プロジェクトの選定方法をめぐっては、各地域で民間事業者からの創意工夫に基づく計画提案を募集することに加え、国際競争力の強化といった視点から国が提案募集することも検討していく方針を示した。
提供:建通新聞社