政府は25日の閣議で、2010年度を初年度とする国土調査事業10カ年計画を決定した。事業の中心となる、一筆ごとの土地の境界や面積などを明確にする地籍調査で、計画期間内に地方公共団体などが2万1000平方`bの地域の調査を進める。また国は、地籍調査の基礎となる新たな基本調査を3250平方`bで実施する。現在49%の地籍調査の進捗率を57%にアップさせる。
地籍調査に向けて国が設置する基準点は、04〜06年度に行った都市再生街区基本調査により、人口集中地区では整備が進んでいる。今回の10カ年計画では、人口集中地区以外を対象とし、8400カ所に設置する。
地籍調査の対象地区は、エリアごとの事業の緊急性を踏まえ絞り込む。特に調査が遅れている都市部や、林地など山村部での調査を重点化し、これらの地域の進捗率を約50%に引き上げる。
国の基本調査はこの目的に沿うもの。直轄事業として新たに「都市部官民境界基本調査」と「山村境界基本調査」を、地籍調査に先駆けて行う。
都市部官民境界基本調査の対象地区は1250平方`b。権利関係が複雑な街区などを対象に、道路など公有地と民有地の境界調査を行う。
山村境界基本調査は2000平方`b。林地などの境界について、土地に詳しい地元関係者に調査し、補助基準点を整備する。高齢化や過疎化が進む山村部の土地境界情報を保全し、今後の地籍調査につなげる。
地方公共団体などが行う2万1000平方`bの地籍調査のうち、人口集中地区では1800平方`b、林地では1万5000平方`bを計画している。また、公共事業や民間開発などでの測量成果も、申請に基づき活用する。
全国の市町村の19%である327市町村が調査を現在休止している。また16%の277市町村が未着手。計画期間の中間年をめどにこれらの状態を解消する。
提供:建通新聞社