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2010/03/17

経審の審査基準見直しや標準請負契約約款の改正に着手 経審の虚偽申請排除や下請企業対策も実施 国交省の入札契約制度改革

 国土交通省は入札契約制度改革の一環として、経審制度の審査基準の見直しや、取引の適正化に向けた建設工事標準請負契約約款の改正に着手することを決めた。2010年度早期に約2年半ぶりとなる中央建設業審議会(中建審)を開き、早ければ夏にも結論を得たい考え。経営事項審査の評点かさ上げを狙った現場での不正や虚偽申請の排除、入札前に履行の確実性を金融機関が保証する入札ボンドの拡充、下請リスト提出入札方式の試行などにも取り組んでいく方針だ。
 今回の取り組みは、前原誠司国交相の指示を踏まえたもの。3月5日に発表した総合評価方式の透明性・競争性確保策に続く第2弾として、▽企業の経営評価▽下請企業対策―という二つの視点から幅広い施策を打ち出した。
 建設業の経営評価で重要な位置を占める経審をめぐっては、一括下請けによる完成工事高のかさ上げや技術者の配置義務違反といった現場レベルでの不正によって、ペーパーカンパニーなどの評点が不当に高くなっているとの指摘がある。国交省はこうした疑念を払しょくするため、都道府県と連携して立入検査など現場での監督を強化する方針。また、利益や技術者数の水増しなど実態のない虚偽申請を防ぐ観点から、申請内容の異常値検出などによって疑いのある業者を絞り込んだ上で重点審査を実施し、疑いが強い業者には必要に応じて行政庁が立入調査を行う。
 経営事項審査の審査基準の見直しにも着手する。具体的には、審査基準日に在籍していれば加点対象としている技術者要件や、評点が高くなりがちな民事再生企業の取り扱い、さまざまな要望が寄せられている社会性評価項目(W点)の在り方などについて中建審で議論を深める。
 入札ボンドについては、市場機能を活用した建設業の経営評価が必要と判断し、直轄事業での対象工事を、現在のWTO対象案件から、原則としてBランク工事(3億円以上)まで拡大する。これに合わせて、入札ボンド提出の時期を入札参加申請時点から入札前に見直す。こうした考え方を盛り込んだ実施要領を4月に示す考え。地方公共団体などにも導入や導入の拡大を働き掛けていく。
 下請企業対策としては、元請けの入札前の見積もりを適正化して下請けへの支払いを担保するため、直轄工事で「下請けリスト提出入札方式」(仮称)を試行する。専門工事の施工内容が特に重要な工事を対象に、下請けが元請けに提出した見積書を元請けが発注者に提出し、見積額を下回る金額での下請契約を原則として禁止する仕組みを想定している。
 また、元請けが倒産した際に下請代金を保全するため、信託や支払ボンドの活用など海外の事例を参考にしながら、新たな方策の導入を検討する。4月以降に金融機関担当者や弁護士、業界関係者らで構成する検討会を開き、具体化に向けた作業を進めていく。
 さらに、中建審で建設工事標準請負契約約款の改正を検討する。契約・取引の対等化・明確化に向けて、代金変更など甲乙協議が必要とされている部分について、第三者による評価を標準化することも検討課題となりそうだ。受発注者間の片務性を是正するためのガイドラインも策定する。

提供:建通新聞社