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2010/03/16

JAPIC・森林再生事業化研究会が「次世代林業システム」を政策提言 国産材利用拡大へ 路網整備など国家プロジェクトとして推進を

 住宅、建設、製紙・製材などの大手企業と学識経験者などが集まってつくる日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、会長・三村明夫新日本製鉄会長)の森林再生事業化研究会(主査・米田雅子慶応大教授)は15日、森林資源を計画的・効率的に供給し、同時に安定的な需要を創出することで森林資源の循環活用を実現する「次世代林業システム」を政策提言した。国産材の利用率を現状の24%から50%に高める目標を掲げ、そのために必要な森林の路網整備や林地の地籍調査の推進のほか、建築材料からバイオマスエネルギーまで木材(間伐材)の100%利用を提案。国家プロジェクトとして進めるよう、赤松広隆農林水産相に提言書を手渡した。
 同日、都内で関係者を集めて「次世代林業サミット会議」を開き、提言を発表した。
 提言ではまず、林業の生産基盤の遅れや、間伐材の7〜8割が山中に切り捨てられ、利用されていない現状の問題点を指摘。林道や作業道などの路網を整備し、高性能林業機械を導入することで木材の生産コストを下げ、利用率を向上させるべきだとした。
 効率的な施業(間伐)を行う際は、民間と国が保有する森林をある程度の規模にまとめて団地化するとともに、日本の地形、気候、地質に合った作業システム(搬出方法など)や、レンタルを含めた林業機械の開発・導入が必要だとした。当初は公的補助によって着手し、2回目以降は自立型の施業に移行するのが望ましいと述べている。
 また、国土の適正利用を促進し、建設業の緊急雇用対策としても期待される「平成検地」の実行も呼び掛けた。地籍調査の進ちょく率は、2008年度末時点で全国48%、林地では41%にとどまっている。地籍や境界確定が不備だと、土地の適正利用や森林の集約化が進まないとしている。
 森林の団地化を促すためには、公的広域組織が所有者や行政単位を超えて、縫い目のない広域マスタープランを作成すべきだとした。このほか、団地化施業を担うプランナーや、生産現場とマーケットをつなぐ人材の育成・確保なども盛り込んだ。
 提言書を受け取った赤松大臣は、「森林・林業を軸に雇用を拡大するため、路網整備や人材育成などへの集中的な投資を掲げた『森林・林業再生プラン』を12月に作成した。実現に向けて、森林・林業再生プラン推進本部と五つの検討委員会を設け、各界の意見を集めることにしている。今回の提言も大いに参考にしたい」と述べた。
 提言に合わせて、電力、ガス、製紙、建機、ハウスメーカーなどの代表者らが国産材利用拡大のための自社の取り組みについて発表した。

提供:建通新聞社