国土交通省は、2010年度に取り組む総合評価方式の改善案をまとめ、8日の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」に示した。前原誠司国交相が表明した総合評価方式の透明性・競争性を確保するための措置に加え、これまで地方整備局ごとにバラツキがあった加算点の配点方法や技術提案・施工能力・地域貢献度などの評価方法について標準案を提示することにした。また評価の透明度を高める観点から、施工体制確認型で施工体制評価点の配点基準を細分化する考え。2010年度早期の適用開始を見込んでいる。
今回の改善策は、国土技術政策総合研究所が行った「直轄工事における総合評価方式の実施状況」(2008年度年次報告)の分析結果などを踏まえたもの。年次報告によると、例えば、ある地方整備局では標準型の技術提案の配点率が8割程度だったのに対し、別の地方整備局では3割以下になるなど、配点や評価方法に大きな違いが見られた。こうしたバラツキを是正するため、標準的な考え方を示すことにした。
技術評価点の加算点は、簡易型が30〜40点、標準U型が50〜60点、標準T型が60〜70点、高度技術提案型が50点を原則とする。技術提案の方法として、指定テーマ数は簡易型が1テーマ(簡易な施工計画)、標準U型が1〜2テーマ(技術提案)、標準T型が2〜3テーマ(技術提案)を想定。記述量は一つの指定テーマにつきA4判1〜2枚程度が原則で、テーマごとに最大五つの提案を基本とし、重要なものの順に提案することを求める。
施工能力の評価方法では、提案企業や技術者(評価項目を設定する場合)の工事成績と表彰の評価を必須とする。また、地域精通度・貢献度などの評価に当たっては、防災活動の実態(活動実績や災害協定締結に関する評価)が必須となる。
施工体制確認型総合評価方式は、低入札価格調査基準価格を下回った応札者を対象に、品質や施工体制がきちんと確保されるか把握するため、ヒアリングや資料提出を求め、その結果を加算点として反映させる仕組み。品質確保の実効性と施工体制確保の確実性という二つの評価項目について、それぞれ15点満点で評価する。資料などに不備があれば、加算点がもらえないことが多いため、低価格応札の防止に効果があるとされている。
今回の見直しでは、3段階(15点、5点、0点)となっている施工体制評価点の配点基準を4段階(15点、10点、5点、0点)に細分化する。運用によっては、低入札価格調査基準価格を下回っても落札できる可能性が高まることになる。
提供:建通新聞社