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2010/03/09

経済産業省 「大型空き店舗などの再生に向けた方向性」について報告書 金融機関・不動産・建設業の連携による「身の丈に合ったプロジェクト」が必要

 経済産業省は、全国の市町村の中心市街地の大型空き店舗の状況と、その再生・利活用に向けた取り組みの方向性を報告書にまとめた。少子高齢化社会などを見据え、大型空き店舗などの再生を「民間が単独で実施できる条件はますます厳しくなる」と予想。地域金融機関や不動産業、建設業などが連携し、それぞれが持つ情報を有効に活用して「身の丈に合ったプロジェクト」を興すことが求められるとした。専門家派遣よる具体的な取り組みへの支援など、戦略的なソフト施策の必要性についても提言している。
 全国の市町村を対象に、昨年秋から今年1月にかけて中心市街地の大型空き店舗の現状を調査(アンケート、ヒアリング)し、今後の取り組みの方向性を示した。
 それによると、中心市街地の大型空き店舗は144件で、07年の調査と比べて13件増えた。同様に大型店舗跡地(空き地)も増え、07年度の調査結果と比べ30件増の80件。特に地方圏で増加しているという。
 これらの再生について市町村からは、「興味を示す民間事業者を探したい」「再生や活用の可能性について知りたい」「再生や活用の条件を知りたい」といった回答が多く寄せられた。
 報告書では、大型空き店舗の再生に当たって「築35年前後の建物が多く、経年変化への対応が必要」と指摘。特に「耐震補強が必要であったり、アスベストの使用が不明確な建物も多い」とし、再利用に当たって、環境対応や、大規模修繕などの必要について早期に確認すべきとしている。
 その上で、民間企業が参入しやすいように、例えばテナント誘致や商業機能以外に、「オフィスなどの業務利用を促進するための企業誘致に官民が一体となって取り組むことが有効」と提案。さらに、施設の採算性を向上させるため、公共施設の中心市街地への再配置なども併せて検討する必要があると述べている。
 地域金融業や不動産業、建設業との連携による「(大規模事業者に頼らない)身の丈に合った再生事業」も提案した。地元建設業が空き店舗を再生する際、行政による支援をはじめ、地元金融機関が協調融資をしたり、地元の不動産・建設業者が持つ情報を活用したりして、「中心市街地の各エリアで集中的にプロジェクトを立ち上げることが効果的だ」としている。結果として、地域内のキャッシュフローが増加し、中心市街地の活性化が期待できるという。
 このほか、具体的プロジェクトに対する専門家の派遣も有効だとした。その際、受け入れ態勢側の人材育成も同時に実施することで、継続的な取り組みが維持できるとしている。

提供:建通新聞社