国土交通省は、総価契約後に工事単価を受発注者があらかじめ協議・合意しておく「総価契約単価合意方式」を、4月1日以降の入札公告分から原則としてすべての直轄土木工事に適用することを決めた。受発注者間の双務性を高め、数量増減などに伴う請負代金の変更を円滑化させるのが狙い。一定の条件の下で、官積算に当初の落札率を乗じる従来の算定手法を改める。実施要領を9日付で各地方整備局などに通知した。
同方式はこれまで、ユニットプライス型積算方式や高度技術提案型の適用案件に限定して運用していた。しかし、難航しがちな設計変更協議を円滑化し、生産性を高める観点から直轄土木事業に全面適用することにした(港湾空港工事は除く)。
運用に当たっては、単価などを個別に合意する「単価個別合意方式」を基本とする。ただし工事事務所発注の工事(予定価格3億円未満)については、請負者の希望により、当初契約時の予定価格に対する落札価格の比率を乗じ、単価などを包括的に合意する「単価包括合意方式」を認める。また、単価個別合意方式の対象工事であっても、協議開始から14日以内に単価合意が成立しなかった場合は、単価包括合意方式に移行する。
単価個別合意方式での単価は積算体系に位置付けられる「細別」(レベル4)ごとに設定。「細別」が設定されていない共通仮設費や現場管理費、一般管理費はそれぞれ一式で単価を算出する。
受注者は工事契約後にこうした考え方に基づいて作成した内訳書を発注者に提出。発注者は受注者が示した単価と、官積算で用いた単価を照らし合わせ、一定の範囲内に収まっていれば単価合意する。範囲外の場合は受発注者間で協議する。
単価合意書に記載がなかった単価の取り扱いも明記。数量の増減が著しく官積算単価が変動するような条件変更がある場合や、施工条件が異なる場合は、変更前の官積算に対する合意単価の比率に変更後の官積算単価を乗じて積算する。また、施工体制の変更が必要となるような「工種」が追加された場合には、管積算単価をそのまま適用する考えだ。
提供:建通新聞社