国土交通省は、建築基準法の見直しに向けた検討を本格化させる。実務者や有識者で構成する「建築基準法の見直しに関する検討会」の初会合を8日に開き、構造計算適合性判定(適判)の対象範囲や建築確認審査の法定期間、違反行為に対する厳罰化などの在り方を議論。夏をめどに検討成果をまとめ、2011年の通常国会への法案提出を目指す。
耐震偽装問題の再発防止を目的として2007年6月に施行された改正建築基準法は、厳格な建築確認検査が現場の実態と乖離(かいり)していたことで建築生産の現場に大きな混乱をもたらし、建築着工の激減を招いた。
法施行から2年以上が過ぎ、その影響は収まってきたとみられていたが、政権交代直後に前原誠司国交相が建築基準法見直しの必要性に言及し、担当部局に検討を指示。これを踏まえ国交省はことし1月に建築確認の手続きや提出書類の簡素化を柱とする運用改善策を発表した。
今回の検討会では、運用改善での対応が難しい事項について審議する。具体的には、▽適判対象範囲の限定化▽建築確認審査の法定期間の短縮▽故意の法違反に対する厳罰化―が議論の主な焦点になりそうだ。座長は、首都大学東京の深尾精一教授が務める。
検討会の委員は次の通り(敬称略)。
▽秋山一美(住宅生産団体連合会建築規制合理化委員会副委員長)▽岩田純一(大阪府住宅まちづくり部建築指導室審査指導課長)▽岡和田喜久雄(都市居住評価センター構造適合性判定事業部構造適合性判定部長)▽尾島勲(日本設備設計事務所協会会長)▽加藤高明(横浜市まちづくり調整局指導部建築企画課長)▽木原碩美(日本建築構造技術者協会会長)▽久保哲夫(東京大学大学院教授)▽来海忠男(プランテック総合計画事務所所長)▽桑原耕司(建築基準法再改正を実現する会代表)▽齋藤拓生(弁護士)▽櫻井敬子(学習院大学教授)▽重田尚宏(全国建設労働組合総連合・住まいと建築の設計者連絡会会長)▽鈴木祥之(立命館大学教授)▽高野雅司(日本ERI確認検査副本部長)▽谷合周三(弁護士)▽橋爪啓文(パナソニック本社施設管財グループチームリーダー)▽船橋有一郎(日本損害保険協会瑕疵担保責任履行検討PT委員)▽細澤治(建築業協会生産委員会設計部会構造分科会委員)▽牧村功(建築設備技術者協会会長)▽三栖邦博(日本建築士事務所協会連合会会長)▽峰政克義(日本建築士会連合会副会長)▽森田嘉久(日本建築家協会専務理事)▽山本利徳(旭化成エンジニアリング・エンジニアリングセンター土木建築部長)
提供:建通新聞社