日本建設業団体連合会と建築業協会、日本土木工業協会は、民間事業主向けに、施工高に応じた部分払いや、工事の内容が変わった場合の請負代金の変更など、公正・適正な契約を依頼するパンフレットを作成した。会員各社の担当者が、発注者と契約条件について交渉する際のツールとして活用する。また、民間事業者団体や建築関係団体にもPRし、理解と協力を求めていく考え。
「工事請負契約に関するご理解とご協力のお願い―安全・安心な建築物を安定的にお届けするために―」が表題。
各協会の会員へのアンケートに基づき、契約条件に関係する事例のうち特に発注者に配慮を依頼する事項として@施工高に応じた部分払いA必要な範囲での請負代金額の変更B適切な瑕疵(かし)担保期間の設定(民間連合約款を標準に原則2年)C履行遅滞の違約金は「請負者に責任がある場合」に限定D請負者が予見・管理できない損害は事業リスクとして発注者が負担E発注者が権利義務を譲渡する場合は「請負者の事前承諾が必要」とする条件を設定―の6項目を抽出した。
「施工高の部分払い」は、建設業法で「下請け工事引渡しの申し出の日から50日以内に下請け工事代金を支払う」とされていることから、施工高に応じた部分払いか、少なくとも建物完成引渡し時に請け負い代金の支払いが完了する条件を設けるよう要望。
「請負代金の変更」については、工事内容の変更や物価・賃金などの経済事情の大幅な変化に備え、請負代金の変更条項(インフレ・スライド条項)の設定を求める。
「発注者の権利義務の譲渡」は、発注者が変更になるケース。「信頼関係が基本となる工事請負契約で契約相手が誰であるかは極めて重要な要素」との考えから、権利義務を譲渡する場合は、請負者の承諾が必要であることを契約に明記するよう訴えている。
パンフレットは3月上旬から配布を始める。
提供:建通新聞社