厚生労働省は、職業能力開発促進法改正案を3月下旬〜4月上旬をめどに今通常国会に提出する。これまで国の職業訓練を担ってきた雇用・能力開発機構の廃止や、産業構造の変化に伴う厳しい雇用情勢などを踏まえ、職業訓練における国と都道府県の役割を見直す。また、鳩山政権が新成長分野と位置付けている農林業や介護・医療分野のニーズに応える職業訓練を提供する主体やカリキュラムの在り方についても、3月上旬をめどに労働政策審議会職業能力開発分科会(座長・今野浩一郎学習院大学教授)から答申を得る。
雇用・能力開発機構の廃止については、すでに08年12月に閣議決定しており、厚労省は、国が行うべき職業訓練のカリキュラムとその実施体制や、都道府県や民間が主体となって実施すべき訓練カリキュラムなどについて再考・再編する必要に迫られている。
「国が行う職業訓練の今後の在り方」の検討を目的として2月12日に開かれた同分科会では、「NPOなど民間も職業訓練のプレーヤーとして活用すべき」という声や、「中・長期的な国際競争力の確保など多面的な視点からの検討が必要」などといった意見が出され、3月上旬までにあと2回分科会を開き、新成長分野の職業訓練の主体や内容の在り方についても、さらに多面的に検討することを申し合わせた。
これらの課題のほかに、厚労省には09年11月に行われた行政刷新会議の事業仕分けによって、同機構の業務の一層のスリム化と職業能力開発総合大学校の廃止を含めた検討を行うことなどが求められている。このため分科会では、これまで雇用・能力開発機構が運営してきた職業訓練施設「ポリテクセンター」や「ポリテクカレッジ」を都道府県へ円滑に移管するための条件や、職業能力開発総合大学校の位置付けなどについてもさらに検討を加えていくことにしている。
提供:建通新聞社<