2010/01/27
公共事業の設計・積算部門など複数市区町村による組織の共同設置 総務研究会が提案
総務省の「地方公共団体における事務の共同処理の改革に関する研究会」(座長、辻琢也一橋大学大学院教授)は25日、行政サービスの広域・高度化や、地方分権の進展などに対応するため、複数市区町村の内部組織の共同設置などを提案する報告書をまとめた。共同設置が期待できる部門として、公共事業の設計・積算や、建築確認などの特定行政庁機能も挙げている。総務省では、これらを可能にする自治法の改正案を現在開かれている通常国会に提出する考えだ。
市区町村には、限られた人員・財源の効率的な活用や、都道府県からの権限移譲への適切な対応などが求められている。総務省では、市区町村事務の共同処理制度を活用することが、これらの課題解決につながると考え、研究会を設置して現行制度の課題の整理と制度改正の必要性、活用可能な分野などの検討を求めていた。
研究会の報告書では、「一部事務組合」や「広域連合」「協議会」「機関などの共同設置」「事務の委託」といった事務の共同処理制度の現状と課題を整理。その結果、▽仕組みが簡便▽各構成団体の主体性が維持される(首長・議長の権限が移動しない)▽責任の帰属が明確で、職員の身分の取り扱いが安定している―などの理由から、「機関などの共同設置」制度を活用することが有効だと結論付けた。
ただし現行の共同設置制度は、対象を行政委員会や専門委員会などに限定している。このため、共同設置を規定している自治法を改正し、制度の対象を内部組織や行政機関、事務局まで拡大すべきとした。
報告書では、共同設置の効果が期待できる部門として、税務や監査、保健所、選挙管理、観光振興などのほかに、国土調査や公共事業の設計・積算、建築確認の特定行政庁などを挙げている。これらの部門の組織を複数の市区町村が共同で設置することで、事務の効率化や専門性の向上などが期待できるとした。