2010/01/07
病院の耐震化率56・2%どまり Is値0・3未満も1・9% 厚労省
全国の病院の耐震化率(「すべての建物に耐震性がある病院」数の調査に回答した病院数に占める割合)が56・2%にとどまっていることが、厚生労働省が行った2009年度の耐震改修状況調査結果から分かった。国の中央防災会議は、10年度末までに大規模災害発生時の医療拠点となる災害拠点病院と救命救急センターの耐震化率を71・5%とする目標を掲げているが、これらの拠点施設の耐震化率でさえ62・4%にとどまっている。
調査は8799病院を対象とし、このうち188病院(2・1%)を除く8611病院から回答を得た。
このうち「すべての建物に耐震性がある」のは4837病院(56・2%)にとどまり、「一部の建物に耐震性がある」が2595病院(30・1%)、「すべての建物に耐震性がない」が98病院(1・1%)だったほか、「建物の耐震性が不明」としたものが1081病院(12・6%)あった。これらの中には、震度6程度の地震で倒壊・崩壊する危険性があるとされているIs値0・3未満の建物を有する病院が164(1・9%)あった。
災害拠点病院と救命救急センターに限ってみると、調査対象612病院のうち回答のあった598病院の中で、「すべての建物に耐震性がある」としたのは373病院(62・4%)にとどまった。「一部の建物に耐震性がある」のは205病院(34・3%)で、「すべての建物に耐震性がない」が7病院(1・2%)、「建物の耐震性が不明」が13病院(2・1%)あった。
さらに災害拠点病院や救命救急センターでありながら、Is値0・3未満の建物を有するものが36病院(6%)もあった。
都道府県別にみてみると、耐震化率が最も高かったのは滋賀県(75%)で、最も低かったのは岡山県(36・9%)。首都圏直下地震の発生が懸念される東京都は53・9%、神奈川県は69・2%だった。東海・東南海地震で甚大な被害が想定されているエリアでは、静岡県が75%、愛知県が55%、三重県が56・5%、大阪府が55%、徳島県が50・8%、香川県が47・9%、愛媛県が45・2%、高知県は46%―などとなっている。
このほか、今回の調査結果から、10年度以降に耐震診断の実施を予定している棟数が1757棟、10年度以降に耐震工事の実施を予定している棟数が1454棟あることも分かった。