日本建築士会連合会(藤本昌也会長)は、現在会員のみを対象に実施している「専攻建築士」と「CPD(継続職能開発)」の両制度を、会員以外でも活用できるようにするオープン化≠2010年度からスタートする方針を固めた。藤本会長が15日、建築士会全国大会(やまがた大会)に先立つ会見で明らかにした。藤本会長は専攻建築士のメリットについて「信頼できる建築士であることを民間の施主にアピールできる」と述べた。全国の消費生活センターや地域の生活協同組合(COOP)を通じて11月から同制度を周知していく考えだ。
専攻建築士制度は、高度化・複雑化している建築士への社会的なニーズに的確に対応できるよう、まちづくりや構造設計など八つの専攻領域を設定し、実務経験や実績、CPDの単位取得状況などに応じて認定するもの。
従来の制度では、士会の委員会活動をCPDとして認めたり、士会の認定講習を2倍のCPD単位で認定していた。オープン化に伴ってこれらを廃止し、専攻建築士としての認定に必要なCPDの実績を、年間50単位以上から12単位以上に減らす。
また、八つの専攻領域のうち「設計専攻」を「統括設計」に、「生産」を「建築生産」に名称変更し、一般にも理解しやすいようにする。
さらに、専攻建築士証をICチップ入りのカードとし、CPDの実績も管理できるようにするなど、両制度を一体的に運用する。これまで別だった担当委員会組織も一本化する。
CPDは、建築士だけでなく施工管理技士などの建築関係技術者も利用できるようにする。士会のCPDの実績は、国土交通省のほか全国19県2市が、業務を発注する際の応札者の評価に活用している。士会連合会では、建築関係技術者の活用のニーズは高いと見ており、士会のCPDをデファクトスタンダード(事実上の標準)にすることを目指す。
15日の会見ではこのほか、連合会が取り組む主な活動として、▽各建築士会に設立している「地域貢献活動センター」を通じた、地域に密着した建築士の活動の支援▽11年に開催する「UIA(国際建築家連合)東京大会」の関連イベントの開催▽関係団体と共同した建築関連法制度の改善要望―を挙げた。
提供:建通新聞社