地方分権改革への対応として国土交通省は、都市計画制度の抜本的な見直しに乗り出す。21日に開いた社会資本整備審議会都市・歴史的風土分科会都市計画部会の都市計画制度小委員会に、都市計画決定で都道府県決定の範囲を限定し、市町村の権限を強化する基本方針を提示。国の関与を大幅に減らす考えも示した。小委員会では2010年1月をめどに第1次答申をまとめる見込みだ。
都市計画制度をめぐっては、政府の地方分権改革推進本部が08年6月にまとめた「地方分権改革推進要綱」の中で、国への協議・同意の廃止・縮小や、都道府県から市町村への権限移譲などを進める方向で検討し、09年度をめどに実施する方針が盛り込まれた。
こうした動きに対応するため国交省は、市町村の権限を強化する方向で都市計画制度を見直すことにした。具体的には、都道府県決定とする都市計画の範囲を▽市街地の拡大をもたらす可能性があり農林業との調整を伴う都市計画▽国道・一級河川・都市再生特別地区といった国が設置する施設などの整備にかかわる都市計画▽都道府県道・二級河川といった都道府県が設置する施設や、産業廃棄物処理施設など周辺住民に好まれない施設など、市町村単一の視点で定めることが不適当な広域・根幹的施設―に限定する。
現在、都道府県決定となっている▽4車線以上の市町村道▽10f以上の公園・緑地・広場▽50fを超える土地区画整理事業▽三大都市圏などでの用途地域、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区―なども市町村による決定を原則にする。
集約型都市構造化を目指すプロジェクトについては、関連する都道府県の施設整備・管理事務を市町村に移譲することも視野に入れている。
さらに国の関与の在り方も大幅に見直す考え方も明確にした。都道府県決定とする都市計画のうち、国への協議・同意を求めるのは「国の利害に重大な関係があるもの」に限定。個別計画段階での関与に代わる手段として、マスタープラン段階で、集約型都市構造などを見据えた基準と方針を国が示すことで、広域的な調整を図る考えだ。
提供:建通新聞社