環境省は「石綿無害化処理認定制度」で初の申請案件を受理、8月17日付で告示した。三重中央開発(三重県伊賀市)が申請した。同省は9月16日まで申請書類を中部環境事務所や同県などで縦覧させる一方、「石綿廃棄物無害化処理技術審査委員会(委員長、藤吉秀昭日本環境衛生センター常務理事)」で審査・協議を進める。委員会が追加の実証実験を求める必要がないと判断した場合、年内にも初の大臣認定「無害化認定処理施設」が誕生する。
「石綿無害化処理認定制度」は、建築物や工作物の解体に伴って今後、廃石綿などの増加が予想される一方で、最終処分場が逼迫している状況を踏まえ、廃石綿などの無害化と減量化を促進するため環境省が2006年8月から施行していた。
しかし、国内には「無害」を実証する安全基準も、実証システムもなかったことから、制度を創設して以来「相談や事前協議は100件以上」(同省産業廃棄物課)ありながら、これまで認定申請にまでは至っていなかった。
今回、三重中央開発(金子文雄社長)が認定を申請した施設の処理方式はジオメルト法による溶融。バッチ式の電気抵抗式溶融炉へ圧縮ブロックにした廃石綿を投入し、1500度以上の高温で溶融・無害化する。ガラス固化体になった廃石綿は破砕した後、鉱さいとして埋立処分する。
計画では、伊賀市予野に13・5dの炉を2基設置。1日最大27dの廃石綿などを溶融する。
ジオメルト法は、1980年に米国で開発された技術。米国ではダイオキシン類、PCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質の処理や、重金属などの汚染土壌の浄化にも適用されているという。
環境省は06年度にジオメルト法による溶融を「次世代廃棄物処理技術基盤整備事業補助金事業」に採択。このときは非飛散性石綿廃棄物の無害化処理実証試験を実施したが、冷却後の生成物からアスベストは検出されなかった。
国内では、大栄環境・ニチアス・鴻池組・間組・日本総研・AMEC JAPAN・クオーク―の7社が出資しているアイエスブイ・ジャパン(東京都千代田区、伊藤克彦社長)がジオメルト法の専用実施権(ライセンス)を有している。
提供:建通新聞社