国土交通省は3日付で、下請け代金の適正な支払いや施工管理の徹底などを求める、いわゆる「盆暮れ通達」を建設業99団体に送付する。今回は、下請けの資金繰り対策として7月からスタートした「下請資金繰り支援事業」を円滑に運用するため、元請けに対し債権譲渡承諾への配慮を新たに要請。また工事用クレーンの倒壊による事故が相次いでいることなどを踏まえ、一層の施工管理の徹底を求めた。
下請資金繰り支援事業は、手形などの売掛債権を買い取る「ファクタリング」という仕組みの活用を国が後押しすることで、資金繰りを円滑化させるとともに連鎖倒産の防止を目指す。手形以外の売掛債権を譲渡するためには元請けの承認が必要となるため、下請けから債権譲渡の承諾依頼があった場合には配慮するよう求めた。また、同事業で手形を買い取りの対象としたことが、元請けによる過度な手形での支払いを助長しかねない点を懸念し、現金払いと手形払いを併用する場合には、支払代金に占める現金の比率を高めるよう指摘。特に労働者の雇用の安定を図る観点から、少なくとも労務費相当分を現金払いするよう求めた。
このほか、元請け・下請け双方の合意がないまま、元請けが一方的に下請代金を決める「指し値発注」を行わないことや、下請け代金の支払い時に建設廃棄物の処理費用などを差し引く「赤伝処理」では、具体的な内容を対等な立場で合意し、計画書面に明記することなどを要請した。
「下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について」は、資金需要が増す夏季と冬季に毎年2回、建設業団体にあてて送付するとともに、都道府県にも参考通知している。
提供:建通新聞社