国土交通省は、工事品質検査の頻度を高める「施工プロセスを通じた検査」(施工プロセス検査)の試行に当たり、既済部分検査を簡素化するための実施要領案をまとめた。受注者が準備する書類は請求書、出来高内訳書、出来形報告書だけでそれ以外の書類は不要であることや、原則として検査中も現場の施工は継続することなどをあらためて明記し、8月1日付で各地方整備局などに通達した。
施工プロセス検査は、日々の施工プロセスのチェックや段階検査、中間技術検査などを重ねることで工事の品質を高める仕組み。既済部分検査は出来高に応じて請負代金を受け取ることができる「出来高部分払方式」を活用する際に必要となるもので、施工プロセス検査では中間技術検査時に合わせて実施する。
国交省は2007年度から施工プロセス検査を試行しているが、出来高部分払方式を活用しているケースは少ない。その要因として受発注者双方が挙げたのが「既済部分検査の負担」だったという。同省はこれまで既済部分検査の簡素化に向けた各種通達を出しているが、依然として周知が不足していると判断。関係通達などを分かりやすく解説した実施要領案をまとめた。
実施要領案では、検査による現場への影響を抑えるため、写真などで現地の状況が確認できる場合には机上による検査が可能であることや、検査の立会人は現場代理人だけでよいことを明記。検査中も現場の施工は継続し、現場の整理状況などは評価しないこととした。
また受注者が作成する検査書類は請求書、出来高内訳書、出来形報告書に限定。施工プロセスや検収状況などの確認は、発注者が作成する施工プロセス検査のチェックシートを活用することをあらためて明確にした。
提供:建通新聞社