直轄工事での不調・不落が高水準にあることを踏まえ国土交通省は、2009年度に実施する当面の不調・不落対策をまとめた。道路維持事業の複数年契約を初めて導入するほか、予定価格の作成に応札者の見積もりを活用する「見積もり活用積算方式」や、詳細設計と施工を一括発注する「詳細設計付工事発注方式」の活用を拡大する方針だ。
国交省の調べによると、2008年度に直轄工事(北海道・沖縄、港湾空港を除く)で発生した不調・不落の件数は全体の13・1%に当たる1659件と、07年度の15・2%よりは減少したものの依然として高い水準にある。特に予定価格が6000万円未満の工事は約2割が不調・不落となっている。
こうした現状に対応するため国交省は、▽入札・契約段階でのインセンティブの向上▽契約後のリスク軽減▽次回契約への反映―という三つの視点から不調・不落対策を進めていくことにした。
入札・契約段階のインセンティブ向上に当たっては、発注者の積算との乖離(かいり)が大きく、不調・不落が頻発している工事で、予定価格の作成に応札者の見積もりを活用する「見積もり活用積算方式」の導入を拡大。具体的には、08年度の実績(約300件)に100件を積み増しした400件の導入を見込んでいる。
また詳細設計と施工を一括で発注することにより、施工者のノウハウを反映し現場条件に適した施工を可能とする「詳細設計付工事発注方式」については、08年度までは機械設備を中心に適用してきたが、09年度は橋梁補修や電線共同溝の工事に適用対象を広げ、新たに50件程度実施する。
契約後のリスク軽減をめぐっては、機械回送費や安全費、現場事務所費といった間接工事費について実績に基づき経費を変更する「間接工事費実績変更方式」を関東・近畿・中部などの地方整備局で合わせて30件程度実施する。
次回契約の反映に当たっては、関東地整で導入している「難工事施工実績評価」の実施件数を08年度の約200件から約400件へと倍増させる。さらに不調・不落が目立つ道路維持事業(路面維持、除草、構造物維持、清掃)について、初めて複数年の国庫債務負担行為を設定。09年度は10件程度の実施を予定している。
国交省によると、「今回の対策はあくまで当面の措置であり、大都市補正の適用拡大などは、不調・不落の実績をさらに分析した上で、あらためて具体策を検討していく」考えだ。
提供:建通新聞社