受発注者間の契約の片務性の解消に向けた取り組みの一環として国土交通省は、総価の内訳を受発注者が協議・合意する「総価契約単価合意方式」を本格導入する方針を固めた。積算体系の細別ごとに単価を合意しておくことで、変更額算定の円滑化が期待できる。同方式の活用を前提に、新たな施工体制を伴う追加工事があった場合に行っている、官積算に当初の落札率を掛ける現在の価格算定手法を見直すことも視野に入れている。
総価契約単価合意方式はこれまで、高度技術提案型工事やユニットプライス積算型工事に限定して実施していた。今後は設計・施工一括発注方式や詳細設計付工事発注方式で全面的に導入するほか、工期が複数年にわたる工事でも導入する。
単価合意は積算体系の細別ごとに実施する考え。例えば、道路土工と擁壁工で構成する道路改良の場合、▽盛土(流用土)▽盛土(購入土)▽法面整形(盛土部)▽コンクリート▽鉄筋▽型枠―といったレベルで受発注者が単価を協議・合意する。
設計変更があった場合、これまでは官積算が優先されがちで、協議が進まない要因の一つとなっていた。同方式によりあらかじめ合意していた単価を用いることで、互いに納得しやすい変更額の算出が可能となる。また、同方式の活用により出来形に応じて請負金額を部分払いする「出来高部分払方式」を選択しやすい環境が整い、結果として受注者のキャッシュフローの改善も期待できるという。
さらに同方式の導入を前提に、これまで官積算に落札率を掛けて算出していた追加工事の価格の算定方法を見直す考え。施工体制が変わるような新規工種を追加した場合に、合意した単価をそのまま積み上げたり、一定の係数を用いたりする手法の導入を検討している。
提供:建通新聞社