改正建築士法の円滑な施行に向けて国土交通省は22日、都道府県建築士法担当課長会議を開いた。5月27日から始まる専門資格者(構造/設備設計一級建築士)の関与義務付けをめぐり、住宅局建築指導課の井上俊之課長は「公共建築の発注に際し、専門資格者の所属などを要件とすることは、円滑な法施行を妨げ、意匠中心の建築士事務所を排除することにもつながるため、厳に慎んでほしい」とあらためて要請。こうした趣旨を徹底するため、27日付で都道府県などに技術的助言を通知するとともに、公共発注者向けの講習会を全国で開く方針を示した。
建築関係者などの間で専門資格者の不足や地域偏在が不安視されている点について井上課長は「本年3月時点では、専門資格者を確保するめどが立っていない事務所が構造分野で約15%、設備分野で約30%あったが、追跡調査をしたところ、このうち3割から4割程度は確保できる見込みになったようだ」と述べ、「(改正建築基準法施行時のような)経済に影響を及ぼすような混乱は生じないだろう」との見通しを示した。
しかし、その一方で「専門資格者や法適合確認の協力事務所の数が少ない地域があることは事実。また法適合確認に必要なフィー(経費)の多寡で事務所同士の話がまとまらないケースが出てくることもあり得る」などとも話し、今後も施行状況をしっかりとチェックしていく考えを示した。
5月27日から施行される専門資格者の関与義務付けは、耐震偽装の再発防止を目的とした改正建築士法に基づくもの。一定規模以上の建物の構造設計や設備設計は、構造設計一級建築士また設備設計一級建築士自らが設計するか、こうした専門資格者による法適合確認を受けることが必要となる。
提供:建通新聞社