自民党の国土交通部会と「公共工事の品質確保に関する議員連盟」(品確議連)は21日に合同会合を開き、入札の最低制限価格や低入札価格調査基準価格を予定価格の90%にすることなどを公共事業発注機関に求める緊急アピールを共同採択した。今月13日に品確議連がまとめた緊急アピールを党全体として実現する姿勢を打ち出した格好だ。国土交通省も今月15日付で最低制限価格などの引き上げを都道府県・政令市などに要請。政府と自民党の足並みがそろったことで、今後、低価格入札の排除に向けた地方公共団体などの対応がより厳しく問われそうだ。
緊急アピールは、▽過去最大の前倒し執行▽地域の建設産業労働者の雇用と所得の確保▽最低制限価格・低入札価格調査基準価格の引き上げ▽地域要件の適切な設定―など合わせて9項目で構成。合同会合の冒頭、品確議連の古賀誠会長は「経済危機対策の実行に当たり、中小建設業の受注をどのように確保し、地域の活性化や雇用につなげていくかが最大の課題だ」と述べ、緊急アピールを全国の発注機関に周知する方針を示した。
この中で最低制限価格などの引き上げについては、企業の継続的な経営や雇用の維持に不可欠な管理的経費が適正に支払われる水準として、最低制限価格などを少なくとも予定価格の90%とする必要性を指摘した上で、算定式を明確化した。
具体的には予定価格の90%を担保するため、中央公共工事契約制度運用連絡協議会の低入札価格調査基準モデルに対して、現場管理費の算定割合を70%から90%に、一般管理費の算定割合を30%から70%にそれぞれ引き上げる考え方を示した。
最低制限価格などの在り方をめぐっては、佐賀県や新潟県などが予定価格の90%程度の水準を確保する仕組みをほかに先駆けて導入した。こうした動きを受けて国交省も今月15日、都道府県・政令市に対し、建設業が地域の雇用を確保し地域産業の中核として持続的に発展できるようにする観点から、実質的に設定水準を引き上げるよう求める異例の要請を行った経緯がある。
提供:建通新聞社