国土交通省は、官庁施設の新築・増築で使う躯体系工事材料の積算数量を設計図書に記載し、契約の一部として扱う試みを2009年度から始めた。積算数量を契約の一部に位置付ける「契約数量」の導入によって、受発注者間の設計変更協議をより円滑化することが狙いだ。09年度は各地方整備局などが工事費1億円以上の新築・増築工事を対象にそれぞれ1件以上試行する。
契約数量の対象材料は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの躯体を構成する鋼材類やコンクリート類とする。特記仕様書に契約数量の試行対象工事である旨を記載するとともに、工事数量総括表を添付し、対象材料の名称や規格・仕様、契約上の取り扱いなどを明記する。
国交省は積算の透明性や客観性、妥当性を確保するため、営繕工事の入札時に工事材料の数量などを記載した数量書を公開してきた。ただ、数量書はあくまで参考資料の位置付けで、そこに記載された積算数量も契約事項としては取り扱われていなかった。
今回、契約数量の試行導入によって、施工段階で設計変更などが生じた場合、受注者は契約数量に基づく適切な対価の支払いを受注者に求めやすくなる。国交省は09年度の試行結果を検証した上で、対象工事や対象材料の拡大も視野に10年度以降の対応を探っていく。
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建通新聞社