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2009/05/18

【国土交通省】最低制限価格の引き上げ促す 都道府県などに要請

 公共工事の低価格入札への対策で国土交通省は、都道府県と政令市に対して、最低制限価格制度や低入札価格調査制度の活用に当たり、建設業が地域の雇用を確保し、地域産業の中核として持続的に発展できる観点を加えるよう、15日付で要請した。調査基準価格の上限を予定価格の90%に引き上げた中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の低入札価格調査基準モデルや、最低制限価格などを予定価格の90%程度にアップした地方公共団体の事例を具体的に示し、管内の市町村への周知徹底も求めた。国土交通省総合政策局建設業課によると「地方公共団体の具体的な取り組みを要請に盛り込んだのは恐らく初めて」。事実上、国交省が地方公共団体に対し最低制限価格などの引き上げを促す内容となった。
 建設流通政策審議官名で出した今回の要請(通知)は、最低制限価格や低入札調査基準価格について、「(本年4月に改定した)中央公契連の低入札価格調査基準モデルを踏まえ、地域の実情に応じ、当該モデルの設定範囲の上限(90%)に設定するなど、算定式の改定や設定範囲の引き上げを適切に行うこと」と明記。その上で、ほかの発注機関に先駆けて最低制限価格などを引き上げた長崎県、佐賀県、新潟県の3県の算定式などを具体例として示した。
 また低価格入札の歯止めとなる最低制限価格制度などの対象工事を拡大することや、こうした制度を導入していない市町村に対して都道府県が早期導入に向けた支援に努めることなども求めた。
 1987年に当時の建設経済局長名で出した通達「低入札価格調査制度及び最低制限価格の活用について」は、今回の要請に合わせて廃止した。
 地方公共団体の最低制限価格などの在り方をめぐっては、国交省の小澤敬市建設流通政策審議官が4月に応じた本紙などとのインタビューの中で「地方公共団体が(自らの裁量で変更できるはずの)最低制限価格を引き上げない理由として、87年に出した通達の存在を挙げるところが多い」と述べ、地方公共団体に新たな要請を行う意向を表明していた。
提供:建通新聞社