日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、下請取引の適正化に向けた自主行動計画を改定し、原材料費などの価格上昇分の全額転嫁を目指す方針を盛り込んだ。全額転嫁に当たっては、建設工事の「出発点」である発注者への全額転嫁が前提となることを強調。井上和幸副会長が国土交通省の平田研不動産・建設経済局長を訪れ、民間発注者に価格転嫁を働き掛けるよう要望した=写真。
下請中小企業振興法に基づく振興基準を23年11月と24年11月に改正した中小企業庁、建設業法令遵守ガイドラインを改定した国土交通省の要請を受け、日建連の行動計画を見直した。
原材料などコスト増加分については、23年11月の振興基準の改正を踏まえ、全額転嫁を目指すと自主行動計画に盛り込む一方、発注者への全額転嫁を前提として元請け・下請けを問わずにサプライチェーン全体で取り組むとした。特に民間発注者と元請けとの取引が適正化されてこそ、元請け・下請け間の価格転嫁も進む、との考え方だ。
国交省に対する要望書では、元請け・下請け間の支払いに対する規制が年々強化される一方、民間発注者から元請けへの法律上の規制がないことを問題視。民間発注者によっては、元請けに対する支払いが竣工まで一切ない、極めて厳しい事例もあるという。
日建連は国交省に対し、下請け企業や技能労働者へのしわ寄せを防止するため、民間発注者に早期支払いの実現を働き掛けを求めたほか、制度改正の必要性も指摘している。
24年11月の振興基準の改正に合わせ、手形サイトを60日以内とすることも盛り込んだ。すでに政府が手形の利用を廃止するための下請け法改正案を国会に提出していることから、手形の利用廃止が大きな混乱が生じないよう、国交省に対策を講じることも求めた。
労務費の転嫁については、下請けからの求めがない場合でも、協力会社会を通じて年1回の定期的な協議を行うと記載。設計図書と工事施工環境の乖離(かいり)を解消するため、発注者との現場確認などによって契約内容に反映するとした。現場確認でも予見できない事象が発生した場合は、設計・請負代金・工期の変更を発注者と協議するとした。
提供:建通新聞社