国土交通省は、時間外労働の罰則付き上限規制に対応するために建設企業が取り組んだ工夫を事例集としてまとめ、3月24日に公表した。公共・民間発注の工事や、元請け・下請けの工夫など、国交省が公募したモデル現場30件を取り上げた。取り入れたツールや、実際に削減できた作業時間を具体的に示し、同様の課題を抱えている建設企業への水平展開につなげる。
建設業には、時間外労働の罰則付き上限規制が2024年4月から適用された。一方で、現場まで建設機械を回送するのに時間を要したり、工事の後工程に工期のしわ寄せがいくなど、長時間労働につながる建設業界の構造的な課題が指摘されていた。国交省は24年度、「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」で、公募により選定したモデル的な取り組みを実証。今回、その結果を事例集にまとめた。
事例集に盛り込んだ取り組みは、▽現場のICT化▽書類業務の外部委託など、機能配置の見直し▽作業場や駐車場などのスペース確保▽工程管理、原価管理などバックオフィス系システムの導入―の四つに分類した=表参照。その上で、主として元請け向けか、下請け向けの取り組みかを事例ごとに示し、さまざまな立場の建設企業が工夫を取り入れられるようにした。主な3事例については動画による解説資料もまとめた。
主な事例を見ると、現場のICT化に取り組んだ山上組(奈良市)は、道路造成工事の発生土を搬出する際、積み込み荷重を計量できる油圧ショベルとダンプの車両情報を連携。搬出効率の向上が工期短縮につながった他、積み込み重量の記録が不要となる省人化効果もあった。
機能配置の見直しでは、国道の舗装修繕工事を対象に書類管理を効率化した愛亀(愛媛県松山市)の事例を取り上げた。社内に配置した建設ディレクターが、打ち合わせ資料作成や施工写真の管理、マニフェストの整理などを担当。監理技術者の時間外労働を月平均で40時間削減できたという。
スペース確保では、ダイダン(大阪市)による工場の空調設備工事・衛生設備工事の事例を取り上げた。現場外にオフサイト施設を確保し、配管加工などの作業を実施し、必要に応じて現場内に運び混む体制を構築。現場よりも作業場所が広く生産性が向上した他、ストックヤードとしても機能し、元請けからの工程変更の要請にも柔軟に対応した。配管作業の人員や、搬入ドライバーの労働時間も削減できた。
提供:建通新聞社