国土交通省が全国の直轄工事で2022〜24年度に試行した低炭素型コンクリートの活用例を初めて調べたところ、導入コストが通常のコンクリートとの比較で「安価」または「同価格」だった割合が4割超を占めた。CO2排出削減に貢献しつつ、一定の価格競争力を確認できた格好だ。国交省は価格以外の要素も考慮して総合的に価値の高い材料・工法を採用するVFMの考え方を打ち出しており、今後も積極的に低炭素型コンクリートの活用を進める。
低炭素型コンクリートは、製造時に大量のCO2を排出するポルトランドセメントを、フライアッシュやシラス、高炉スラグといった代替の材料に55%以上置き換えたもの。製造時のCO2が半分以上削減される。これと同等以上のCO2削減効果のあるコンクリートも低炭素型として扱う。
国交省では、21年に策定した環境行動計画などに基づき、低炭素型コンクリートの試行活用を開始した。22年度から24年末にかけ、全国の直轄工事51件では、合計約1万1000立方bの低炭素型コンクリートが使用されたという。発注者の指定や、契約後の協議、受注者の自主的な取り組みなど、低炭素コンクリートを導入したきっかけは幅広い。
活用に要した費用を把握できた工事を対象に集計したところ、従来品と比べて「安価」が9%、「同価格」が34%だった。
企業間でCO2削減量を売買するJ−クレジット制度では、再エネ導入による1d削減に平均3246円の価格がつく。低炭素型コンクリートの導入に要する追加コストが3000円未満と、J−クレジットでの取引価格よりも安価だった2%を含めると、全体の45%で低炭素型コンクリートの価格競争力が初めて確認された形だ。
導入例のうち、プレキャストが49件と大半を占めていた。現場打ちでは新材料の使用に伴い不具合があった際、リカバリーが難しいためだと見られる。
代替材料のうち50件は、製鉄に伴って発生する高炉スラグ微粉末だった。このため、低炭素型コンクリートの活用例は製鉄所のある太平洋ベルトと北海道に集中。一方で、東北地方や九州でも活用例があり、全国の17道府県の現場で実績がある。
地域によっては大きな追加コストは生じないものの、通常と異なる供給網が必要となるなど、一定の手間・負担は発生する。改正品確法の運用指針では、脱炭素化などの要素を踏まえた総合的に価値の高い資材・工法の採用を規定。試行結果を踏まえ、さらなる活用を目指す。
民間工事でも、発注企業にCO2排出量削減を求める市場の圧力は強まっている。公共工事での活用例の蓄積に伴い、低炭素型コンクリートへの関心は今後、さらに高まりそうだ。
提供:建通新聞社