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中央ニュース

2025/03/11

技術提案ST型に試行案 上限5%で設計変更

 国土交通省は、受注者からの技術向上提案に基づいて仕様や工法の変更を認める技術提案評価「ST型」を2025年度から試行する。同省がまとめたS1型の要領案によると、発注者から提案テーマを提示する際、対象を特定の工種・箇所・段階に絞って明示。受注者の提案を採用した場合、公告時の予定価格の5%を上限として、提案に基づく変更契約を認めるとした。
 ST型を適用するのは、発注者が標準的な仕様・前提条件を定められるものの、仮設物や工法、目的物の比較的軽微な変更、新技術の活用により品質・環境・安全性の改善が期待できる工事。価格以外の要素を考慮して最も価値の高い資材・工法を選ぶ「VFM」の考え方が改正品確法に盛り込まれたことを受け、従来のS型よりも施工者のノウハウを生かせる発注手法を整える。
 施工課題に対応した通常の技術提案と、仕様・工法の変更を許容する技術向上提案で、それぞれ1テーマを設定する。技術向上提案では、工期延期のリスク回避や安全性向上、点検困難箇所への維持管理性の高い工法の採用などのテーマ例を示した。単なるコスト縮減提案などはテーマとせず、特定の資材に置き換えるだけの提案も評価しない(自社開発は除く)。
 公告時に、技術向上提案に基づいて設計変更できる上限額(最大5%)を明示する。競争参加者は、提案の実施に必要な概算費用を提案書に記載する。入札段階では提案の実施費用は予定価格、入札価格に含めない。提案の作成・評価に時間を要するため、発注手続き期間は従来のS型よりも長く設定する。
 総合評価では、技術提案全体に対する評価点のうち、2分の1〜3分の1を技術向上提案に対して配点する。
 技術向上提案の採用は第三者委員会に諮って決める。契約後に速やかに受注者に採否を伝える。採用する場合は、受注者による提案部分の見積もりを踏まえて協議し、変更契約を締結する。原則として通常の総価契約単価合意方式と同様の扱いとなる。合意単価を用いない場合も、新工種の場合以外は落札率を乗じる。
 25年度は、地方整備局ごとに1件程度の試行を目指す。技術向上提案の導入が品質や安全性の改善につながったか、技術提案・交渉方式などと比べて事務手続きの負担を軽減できたかフォローアップする。効果を確かめた上で、総合評価方式の運用ガイドラインなどに反映する。

提供:建通新聞社