国土交通省は、BIM/CIMの属性情報を積算に直接活用するための環境を3月中に構築する。共通フォーマット(IFC)を用いることで、使用するソフトウエアを問わず3次元モデルから数量を算出できるようにする。BIM/CIM推進委員会で方針を示した。
現行では、BIM/CIMで3次元モデルを作成しても積算根拠と連携しておらず、設計ソフトで算出した数値を手入力で規定の様式に転記して積算するなどの手間がかかっている。3次元モデルから数量・規格を算出し、IFC形式のデータから適切なデータ形式に変換ことで、積算システムに円滑に入力できるようにする。
このため、IFC形式のデータをXML形式に変換できるツールを3月中に公表する。
工種については別途、国土技術政策総合研究所が1月に公開した工事工種体系ツリーコードを参照する。
これらのツールにより、IFCによるBIM/CIM積算の実施環境が整うことになる。
こうした環境整備に向け、国交省は24年度に全国11件の橋梁下部工を対象として3次元モデルを活用した数量算出を試行。3次元モデルに設定した属性情報を活用し、積算システムへと取り込むデータを半自動的に生成できたという。
3次元モデルを積算に活用する事例は限られている。国交省が24年度に契約した詳細設計業務で3次元モデルを作成した受注者を対象に、数量算出での活用状況を聞いたところ、「構造物」では16・3%、「土工」では14・8%、「複合、その他」では15・0%しか活用していなかった。中でも、数量算出だけでなく工種や規格なども属性情報として設定し、数量設計を実施した事例はごく一部にとどまった。
設計受注者からは、3次元モデルから得られた数量を活用していいか分からないといった声も寄せられたという。そこで、土木工事数量算出要領でソフトによる算出を「適用できる」としていることを、改めて周知し、活用を促す。
提供:建通新聞社