国土交通省は、3次元計測技術を用いた出来形管理要領案をスリム化し、4月1日から適用を開始する。受発注者が理解しやすいよう、全工種の共通事項と工種ごとの実施事項に分け、重複する内容を削減する。初めてICT活用工事に取り組む企業を想定した「スリム化版に関する使い方ガイド」も作成し、積極的な活用を促す。
現行の出来形管理要領案は、14の工種ごとに空中写真測量や地上型レーザースキャナ計測技術、UAVレーザーなど適用可能な計測技術の取り扱いを記載したもの。工種の拡大、計測技術の追加などにより1100ページ超となっている。
新たな要領には、全工種に共通の実施事項のみをまとめ、重複する箇所は可能な限り削除する。工種や出来形管理手法ごとの主な実施事項を見る場合は、総括表から確認できるようにする。
詳細を把握する必要があるときは、総括表のリンクから別表を閲覧し、起工測量・出来形管理などの実施事項や、各工種で求められる精度管理、計測技術ごとの手順・留意事項などを確認する。
■提出書類も簡素化
ICT活用工事の実施に伴う受発注者の事務負担を軽減するため、提出書類の簡素化も進める。施工前に行うICT建機の精度確認の結果報告書については、2025年度から精度確認試験の結果のみの提出を認め、測定状況写真の提出は不要とする。
現状では、精度確認に際して使用する機材の名称や写真を記載するとともに、検証対象の測定状況写真、3次元計測機器の測定状況写真などを求めている。こうした参考情報は不要とし、基準値を満たしているか否かを確認する。
ICT活用工事で、出来形管理図表(ヒートマップ)の作成・提出を不要とする基準も25年度から追加する。現行では、3次元モデルと点群データを重ね合わせて出来形管理図表を作成した上で、トータルステーションなどを用いて実施検査を行っている。拡張現実(AR)技術を用いて、出来形面管理データを現地に投影して監督・検査を行った場合、出来形管理図表の作成・提出を不要とする。
ARを用いた監督検査は24年度に試行する。提出書類を簡素化できるだけでなく、遠隔での立ち会いが可能になり、修正施工の必要な箇所の把握も容易にできることが分かった。
提供:建通新聞社