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2025/03/05

八潮市の道路陥没事故 下水道の全国一斉調査

 国土交通省は、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて設置した有識者委員会の2回目の会合を開き、全国の下水道管の一斉調査を実施する方針を決定した。国交省は、道路陥没が発生しやすい条件や社会的影響を踏まえて対象の下水道管を選定する考えを提示。下水道管の点検に一般的には使用しない、空洞調査や非破壊検査などの新技術も活用し、調査を効率的に進める意向も示した。
 すでに八潮市の道路陥没箇所と同様の大規模な管路がある7都府県の流域下水道管理者が緊急点検を行い、2月14日までに埼玉県内の下水道管3カ所で腐食を確認した。全国一斉調査では、道路陥没の恐れがある箇所の緊急点検の対象をさらに広げ、市町村が管理する下水道管の実態も把握する。
 国交省は3日の会合で、敷設後40年が経過した下水道管で道路陥没が増加する傾向があることを報告。下水道管の勾配が大きい箇所や、急曲線施工部は腐食が進みやすいため、こうした条件で調査対象を絞り込む。周辺の地盤も併せて考慮する。
 道路陥没が発生すると社会的な影響が大きい、管径の大きな管や埋設位置の深い管、バイパス管がない箇所なども調査対象とする考えでいる。
 下水道管理者は既存の管路台帳などから調査対象の管を抽出し、調査計画を策定。調査員が管渠内に立ち入ることのできない管路にはテレビカメラ調査を採用する。
 この段階で不具合が見つかった場合、管路内や路面から空洞調査を実施する。構造的に弱点がある箇所では、目視だけでなく、非破壊検査も行う。非破壊検査は一部の更生工事に採用されているが、定期点検には一般的に使用されておらず、こうした新技術も採用して調査の効率化を図る。
 有識者委員会の委員長を務める政策研究大学院大学の家田仁特別教授は会議終了後に取材に応じ、「下水道を管理する地方自治体が納得してもらえるよう、実現可能性の高い調査としたい」と話した。有識者会議は、3月11日に開く次回の会合で調査手法を決定する見通し。法定点検の見直し、維持更新・再構築を推進する制度などについても議論し、今春に最終報告をまとめる。

提供:建通新聞社