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中央ニュース

2025/03/06

通常工事で遠隔施工拡大 積算基準の作成を検討

 国土交通省は、従来は災害現場が中心だった遠隔施工の通常工事での活用に向け、2025年度から積算基準の作成を検討する。まずは、地方整備局の各技術事務所が保有している遠隔施工対応の建設機械を貸与することを想定する。オペレーターの安全確保や働き方の柔軟化、労働環境の改善につなげる。試行工事を随時実施し、課題を検証する。
 遠隔施工では、オペレーターが建機に搭乗せず、遠隔で操作する。現行では、土砂災害や火山災害の復旧現場など、建機に搭乗して作業するとオペレーターが2次災害にあう恐れのある災害対策工事での活用が中心となっている。
 国交省では、遠隔施工が現場の省人化にも生かせるとし、i−Construction2・0の主要施策の一つに設定。通常工事での導入を拡大する方針を打ち出した。26年度にかけて発注・監督・検査に関する基準類を順次、整備するとともに、28年度までに対象現場の明確化など、遠隔施工の適用範囲に関する指針をまとめる。
 24年度の取り組み状況を見ると、直轄工事の土工全般を対象に、発注者向けの試行要領案を作成。試行工事を推進するための環境を整えた。
 これまでも一部で遠隔施工を活用していた直轄砂防工事については、主に施工者・監督職員向けに遠隔施工要領案を作成し、さらなる導入を後押しする。
 地方整備局の技術事務所では、災害対応などを想定し、遠隔施工に対応した建機を保有している。25年度以降は、こうした建機の貸与を想定した積算基準の作成を検討。一般工事での発注を見据え、活用拡大につなげる。
 必ずしも災害対応を念頭に置かず、通常工事を対象とした遠隔施工の機器も徐々に販売・レンタルが始まっている。国が保有する建機の貸与だけでなく、市場価格を取り入れた積算の実施は今後の課題となる。
 従来は遠隔施工であっても、オペレーターが建機を視認できる範囲など、比較的近い距離での施工が中心だった。通信技術の進歩に伴い、遠隔施工が可能な距離も拡大。例えば、北陸地方整備局の「大河津分水路山地部掘削その23他工事」では、現場から30`離れた受注会社の本社からバックホウを遠隔操作した。
 現場条件に応じて必要になる通信環境も検討事項となる。固定回線(光回線)だけでなく、通信衛星やモバイル回線を使う例もあり、低遅延・高品質の現場映像を安定して確保できる回線、データ伝送技術を探る。
 国交省は今後、直轄工事で遠隔施工を実施する施工会社やシステムの提供会社、建機メーカーなどへのアンケートを基に、遠隔施工用の通信環境を整えるための指針を作成する。施工環境に応じた通信手段を整理し、遠隔施工導入の参考資料する。

提供:建通新聞社