国土交通省が直轄工事・業務の受注者を対象にBIM/CIM活用状況に関するアンケート調査を行ったところ、施工ステップの確認をはじめ、3次元の視覚化効果がよく利用されていることが分かった。課題としては、2次元図面と3次元データ作成の二重作業が発生し、作業時間・手間が増えていることを指摘する意見が工事・業務を問わず多かった。
アンケートは、2024年10月31日時点で履行中の直轄工事・業務の受注者を対象として11月25日〜12月20日に実施した。回答数は工事が931件、業務が508件。
BIM/CIM活用に当たって国交省が設けている「推奨項目」の実施状況を質問したところ、工事では「施工ステップの確認」が最も多く、回答者の半数超を占めた。以下、「現場条件の確認」、3次元モデルと他の情報を組み合わせて位置関係のずれなどを確認する「重ね合わせによる確認」を挙げる回答者も多かった。
業務でも「施工ステップの確認」「視認性の確認」「重ね合わせによる確認」が特に多く、おおむね工事と共通する結果となった。従来、BIM/CIMの効果には鉄筋などの干渉チェックを挙げる声が多かったが、3次元モデルによる視覚化効果が幅広く使われていることが明らかになった。
BIM/CIM活用のデメリット、効果が得られていないと感じる場面についても聞いた。工事、業務のいずれも、「CAD等の業務と二重作業になり作業時間・手間が増加」との回答が最も多かった。国交省はこうした実態を踏まえ、2次元図面と3次元モデルの整合確認の原則化や、2次元図面の削減を検討する。
この他、「人材育成の費用・時間等が負担」をデメリットに挙げる回答も工事・業務で共通して多かった。
同時期に各地方整備局の事務所職員を対象に行ったアンケート調査では、関係機関協議や地元説明での活用例が多いことも分かった。受発注者との合意形成などで効率化の効果が大きかったという。
提供:建通新聞社