国土交通省は、ダンプトラックや建機の位置・稼働状況を把握して現場管理を高度化する「ICT施工ステージ2」の推進に向け、受発注者間の施工データ連携に関する共通ルールを作成する。日本建設業連合会、全国建設業協会、日本建設機械施工協会、日本測量機器工業会も参加する勉強会を設置。年内に検討結果をまとめ、2026年2月をめどに公表する。
ICT施工ステージ2では、建機の稼働データや施工履歴データ、現場内の映像データなどを集約し、施工の段取りの最適化や工程上のボトルネックの把握・改善、高精度な予実管理を目指す取り組み。個々の建機でのデータ活用による生産性向上に主眼を置いた従来のICT施工を進化させ、現場全体の最適化、省人化につなげる。
24年3月に現場マネジメントの実施要領案をまとめており、現在は試行段階にある。
勉強会では、省人化や生産性向上にどのようなデータが有効か調べるため、事例となるような現場を設定して意見交換を行う。施工データとして取り扱うべき内容を整理するとともに、受発注者間でデータ連携する際の共通ルールを作成する。2月10日に開いた初会合で方針を決めた。年内に検討結果をまとめ、26年2月に開くICT導入協議会で報告・公表する。
検討の成果は、建設現場のデータを受発注者が共有するためのデータ基盤の構築に生かす。
国交省は24年度、継続中を含めて15工事でICT施工ステージ2を試行した。主な取り組み事例を見ると、ダンプトラックの位置情報・稼働状況を可視化した土工の現場では、運搬時の滞留箇所を把握でき、転回場所の設置につながった。経路を改善したことで、運搬回数・土量を増やすことができたという。
ダンプの位置を把握し、近接状況を通知できるようにしたことで、掘削・積み込み機械も待ち時間を鉄板敷設など別作業にあてられるなど、時間を有効活用。この結果、日当たり施工量を25%引き上げ、トータルで8日間の工程短縮、運搬作業員80人分の省人化を実現できた。
別の土工現場では、施工計画段階で速度や交差点、車線数などに基づき滞留予測を実施し、最適な運搬経路に見直した。
施工段階では、ダンプトラックや掘削・積み込み機械の位置情報を基に、休憩時間前に積み込み待ちが発生するなど、工程上のボトルネックがあることを把握。積み込みバックホウの台数見直しや休憩時間の柔軟化を行った。これにより、運搬作業量を50%増加させ、13日間の工程短縮を実現。247人分の省人化につなげた。
提供:建通新聞社