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2025/02/17

労務単価引上げ、13年連続 全国全職種平均6%増

 国土交通省は2月14日、3月から適用する公共工事設計労務単価を発表した。全国・全職種平均の単価は前年度比6・0%増の2万4852円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)となり、13年連続で上昇。伸び率は前年度を上回り、7年連続で最高額を更新した。時間外労働規制への対応に要する費用を反映するとともに、賃上げが進む近年の実勢を踏まえた単価とした。
 これまでも、個人負担に必要な法定福利費相当額や、有給休暇取得に要する費用、生産性向上の取り組みに要する費用、元請け企業から技能者に直接支給している手当てを加味してきた。時間外労働の罰則付き上限規制が昨年4月に適用されたことを踏まえ、対応に要する費用を反映。全国・全職種で前年度を上回る単価となった。
 単価の算出方法を大幅に見直した13年度からは13年連続での上昇となった。見直し前の12年度の単価と比べると85・8%増となった。
 労働者数の多い主要12職種は前年度比5・6%増の2万3237円。伸び率は左官と軽作業員が6・8%増で最も高かった。伸び率が最低だったのはとび工の4・8%。
 公共工事設計労務単価は、公共工事の積算に用いる単価として毎年、決定する。国交省や農林水産省、都道府県、政令市などの工事を対象に、現場に従事する技能者の賃金を調べる「公共事業労務費調査」の結果を踏まえ、市場での実勢価格を反映して算出する。47都道府県・51職種別に設定している。
 1997年度の公表開始以降、公共投資額の減少やダンピング受注の横行などもあって2011年度まで下落が続き、全国全職種平均の単価は1万3047円にまで落ち込んだ。13年度に単価算出手法を大幅に見直し、現在まで上昇を続けている。
 新単価は3月1日以降に契約する国交省・農林水産省の直轄工事に適用する。
 今回の公共工事設計労務単価の設定に当たっては、石破茂首相が2月4日の閣僚懇談会で賃金上昇の情勢を踏まえて引き上げるよう中野洋昌国交相に指示。14日には日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会と賃上げ・生産性向上に関する車座対話を行っていた。
 公共工事設計労務単価は、改正建設業法に基づいて12月までに作成する「労務費の基準」の設定にも活用される。
 改正法に基づく取り組みや、業界の賃上げ機運の高まりが実際の賃上げにつながれば、実勢調査を経て公共工事設計労務単価のさらなる引き上げに反映される。

提供:建通新聞社