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2025/02/14

技術人材の育成を評価 技術政策の方向性

 国土交通省は、社会資本整備審議会の技術政策を議論するワーキンググループを2月13日に開き、建設技術者の確保・育成に積極的な企業を評価すべきとする提言案を提示した。育成した人材が職種、組織の枠を超えて活躍できるよう、技術者のデータベースを構築するとのイメージも示した。3月にも議論の結果をまとめ、次期技術基本計画に反映する。
 国土交通省の沓掛敏夫技術審議官は、技術開発に必要な予算を24年度補正分と25年度当初分を合わせて240億円計上しているとし、「これをエンジンにしっかり進める」と述べた。
 議論のまとめ案では、建設業の人材育成に向けた「人的資本投資」が他産業に比べて低い水準にあるとし、国が企業を支援すべきとした。人材のモチベーションを高めるため「技術者本意の人事制度」が必要だとも記載。スキルアップ支援や、特定の職務に就く希望者を公募するポスティング制、ジョブ型雇用を例示し、積極的な企業を国が評価する仕組みを求めた。
 官民の垣根を越え、技術人材の雇用を流動化させることも必要だとした。このため、技術者が持つ資格や経験に関するデータを集約した人材バンクの構築などの施策を提示した。
 現場の課題解決につながるデジタル技術を内製化できる人材の必要性も指摘。人工知能(AI)を導入し、技術者が中核業務に集中できる環境づくりや、若手への技術承継に生かすよう提言した。
 発注者に対しては、新技術の積極活用に向け、技術基準の性能規定化を促した。受注者が提案した技術の有効性を適正に判断できる人材を求めた。
 新技術の海外展開についても議論。インフラそのものに限定せず、技術を売り込むようなビジネスモデルも構築すべきとした。国内技術を海外で活用できるよう、信頼性の証明や国際標準の仕組みづくりを促すとともに、脱炭素化や防災といった分野の新技術の先行的な国際展開を求めた。
 昨年9月に先行して発表した議論の中間まとめでは、新技術の社会実装に焦点を当て、直轄事業での先行活用などを通じて国が技術開発をけん引することを明記した。今回の会議の結果と合わせてワーキンググループの最終まとめとし、2024年度内に発表する。

■産業全体の議論を喚起

 ワーキンググループ座長の小澤一雅政策研究大学院大学教授は、会議後に会見し、技術人材の雇用の流動化について「今後の社会変化を踏まえると、考えないといけない」と指摘。技術者と経営者で受け止めが異なることにも触れ、「建設産業全体にとってプラスとなる仕組みをどうつくるか、議論すべきだ」と述べた。

提供:建通新聞社