政府は、PPP/PFIの事業期間中に資機材価格や労務費が高騰した場合の対応として、PFI事業契約の実務面での指針となる「標準契約1」に全体スライドを盛り込むことを検討する。2月12日に開いたPFI推進委員会事業推進部会で提示した。
事業期間が長期にわたることの多い官民連携事業では、物価などの高騰が受注者側にとって大きなリスクとなる。日本建設業連合会は、国・地方自治体によってスライド条項の適用にばらつきがみられるとし、ガイドラインへの明記を要望していた。
政府が24年にまとめた調査では、対象となった158件のPFI事業のうち9割近い139件でサービス対価の改定条項が規定されていた。内訳(重複含む)は全体スライドが70件、単品スライドが79件、インフレスライドが64件だった。
12日の会合では、PFI事業契約に関する「標準契約1」に、全体スライドに関する記載を追加するとの方針案を提示した。物価高騰への対応ではこの他、PFIでサービス対価を改定する基準時点をあらかじめ実施方針に明示するとした。対価の改定に際して参照する物価指数は、自治体と事業者との間で十分に協議して決めるようガイドラインに記載することも検討する。
■分野横断・広域PFIに手引き
12日の会合では、「分野横断型・広域型PPP/PFI」の事業導入の手引きを作成することも打ち出した。先導的な取り組みをまとめた事例集も作成し、自治体に活用を促す。
政府は、人口減少やインフラ老朽化に対応したインフラの再構築に向け、分野横断型・広域型PPP/PFIの活用を検討している。異なる分野のインフラや、複数自治体にまたがるインフラについて整備・維持管理をまとめて発注する手法に、官民連携を取り入れる。
24年には10団体を対象に、先行事例のヒアリングを実施。事業の効率化や自治体の人材・財源の補完、サービス向上といったメリットを確認できた。
提供:建通新聞社