トラックドライバーの働き方改革に向けた改正物流効率化法が4月1日から施行される。貨物の納入先でトラックが待機する「荷待ち」、貨物の積み下ろしを行う「荷役」の合計を2時間以内に抑えるという目標を設定。長時間の荷待ちが指摘される建設業界は、貨物を受け取る着荷主として対策が求められることになる。
物流業は建設業と同じように、昨年から時間外労働の罰則付き上限規制が適用された。ドライバーの長時間労働の原因とされるのが、貨物を受け取る側の都合で待機させられる「荷待ち」だ。
建設工事の現場では、鋼材や建材、住宅設備、生コンクリートなど幅広い建材を受け入れている。工場のように常設の荷さばき地がなく、工事の進ちょくによって貨物の受け取りに時間を要する点などが、長時間の荷待ちを誘発させている。
国交省が昨年9〜10月にトラック事業者の法令違反を誘発するような荷主(全業種)の行為を調査したところ、「長時間の荷待ち」が全体の34%を占め、最多となった。違反につながりかねない行為のあった輸送物品のうち、建材は8%となり、4番目に多かった。
改正物流効率化法では、荷主に対し、物流の効率化に取り組むことを努力義務化。法に基づいて国交省と経済産業省、農林水産省は荷待ち・荷下ろしについては合計2時間以内とする判断基準を設けた。
3省がまとめた報告書には、荷待ち時間の短縮に向けて、予約システムの導入による納品タイミングの分散化や、混雑時間を避けた納品日時の指定を行うことも盛り込んだ。
貨物の到着時刻や時間帯の指示がない場合は、トラックドライバーの到着から荷役の開始までの時間を荷待ちの時間と規定。時刻の指示があった場合は、それより早くトラックが到着したとしても、指示時刻以降を荷待ち時間とする。
荷主の取り組み状況は、トラック事業者から寄せられた情報などを踏まえて調査・監視する。このため、昨年11月にはトラック・物流Gメンを設置。法施行に先駆けて行った集中監視では、荷主に対して1件の勧告、4件の要請、304件の「働き掛け」などの是正指導を行った。
働き掛け以上の是正指導の対象となった荷主に対してはフォローアップを継続し、改善がみられない場合は法的措置の実施を含めて対処する。
提供:建通新聞社