国土交通省は2月3日、建設業での女性活躍・定着に向けた検討会を開き、新たな実行計画案を提示した。建設業の魅力発信や、快適トイレの自治体工事での普及をはじめとした働きやすい現場環境の整備、全国規模のネットワークによる女性活躍の裾野の拡大を柱に、取り組み事項をまとめた。建設業で働く女性の広報や、快適トイレの導入に関する事例集とともに、2024年度内に計画を策定、公表する。
検討会は、国交省と元請け・専門工事など建設業関係の6団体、建設産業女性定着支援ネットワークで構成する。前回計画の策定から5年が経つのに合わせて、新たな計画を議論してきた。女性活躍・定着促進を切り口に、企業トップや現場で働く労働者全体の意識を変え、誰にとっても魅力ある建設産業とすることを目指す。実行計画の目標時期は29年度。
働きやすい現場の実現に向けた対策では、快適トイレなど、国の直轄工事では一般化している環境整備を自治体発注工事、民間工事にも普及させる。日本トイレ協会の協力を得て、快適トイレを活用する際の参考事例集をまとめる。トイレの設置スペースを確保できない住宅建築現場にも活用できるトイレカーや、休憩所を兼ねたトイレの設置事例を紹介する。
リモートでの朝礼運営や、現場の実態に即した産休・育休制度など、働き方改革も促進する。
建設産業の魅力向上へ、経営者層から現場までの意識改革、理解醸成も求める。検討中の「技能者を大切にする企業」の自主宣言制度と連携した女性活躍の促進も考える。えるぼし・くるみんなど女性活躍に関する国の認定制度を公共調達の加点評価に生かすことも盛った。
建設業の魅力を広く伝えるため、建設産業人材確保・育成推進協議会の協力を得て広報事例集も作成する。教育現場とも連携し、小中学生、高校生とその保護者に建設業のPR活動を展開する。
女性活躍の裾野拡大を目指し、「建設産業女性定着支援ネットワーク」と建設業団体の連携を促進する。
一連の取り組みを通じ、▽建設業における女性技術者・技能者の人数を毎年増加▽女性の入職者に対する離職者の割合が、男女合わせた平均を上回らないようにする▽管理職に占める女性の割合を毎年増加▽全都道府県で建設産業女性定着支援ネットワークに加入している団体を確保―という目標を達成する。
提供:建通新聞社