トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2025/02/04

品確法運用指針を申し合わせ 処遇改善、新技術活用促進

 政府の「公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議」は2月3日、品確法の「発注関係事務の運用に関する指針」(運用指針)の改正を申し合わせた。品確法の改正を受けて、働き方改革・処遇改善、地域建設業の維持、新技術活用、公共工事の発注体制強化に関わる取り組みを定めた。国土交通省が3月中に運用指針の解説資料を公表し、4月の発注工事から新たな運用指針の適用を開始する。
 運用指針は、国の機関や地方自治体などの公共発注者が品確法に規定する「発注者の責務」を果たせるよう、発注関係事務に関する共通の指針を定めている。2020年の前回改正以来、5年ぶりの見直しとなる。
 昨年の品確法改正を踏まえ、▽週休2日の「質の向上」、スライド条項の適用基準の作成などの働き方改革、処遇改善▽適正な入札条件での発注など、地域建設業の維持▽ICT、新技術の活用による生産性向上―を柱に記載を見直した。国が発注関係事務の実施状況を毎年調査し、必要に応じて助言する。
 担い手確保の関連では、土日を休日とする、より質の高い週休2日の取り組みを推進する。施工時期の平準化をさらに推進するため、発注部局と入札契約・財政担当部局の連携も求める。工期設定では、時間外労働規制の順守、猛暑・大雪による施工困難日数を考慮する。
 処遇改善では、スライド条項を工事契約書に規定するとともに、変更後の請負代金額の算定方法の設定、運用基準の策定を明記し、物価変動に応じて受注者との適切な協議を促す。工業高校など教育機関と建設業との連携促進、担い手確保に向けた国・自治体による広報活動も盛り込んだ。
 地域建設業の維持に向けた環境整備も推進する。担い手確保・育成に配慮し、競争参加資格を設定。技術力ある企業と地域の中小企業との連携を促すような発注の工夫も求める。受注希望者が限られ、競争参加者がいないことが確認できた場合は随意契約を活用できるとした。
 建設業の災害対応力を高める規定も追加し、災害協定に基づく応急対策で、会社役員を含めて労災保険料を積算に反映する。復旧・復興JVにより大手企業から地域企業への技術移転を促す。
 新技術活用では、価格だけでなく工期や安全性を考慮して最も総合的な価値が高い資材、工法を選ぶ「VFM」(バリュー・フォー・マネー)の考え方を明記し、予定価格に反映する。脱炭素につながる技術の積極活用も盛った。国が公共工事の技術開発を推進するため、オープンイノベーションや技術基準整備に取り組む。
 公共工事の発注体制強化では、自治体のインフラ維持管理に不足しているマンパワー・ノウハウを補うため、広域・分野横断的なメンテナンス体制の構築に努める。国・都道府県には、市区町村向けに発注関係事務の研修、講習の開催を求める。

提供:建通新聞社