総務省は1月28日、大都市における行政課題への対応に関するワーキンググループを開き、新たな大都市制度となる「特別市」制度の必要性について川崎市と、神奈川県にヒアリングした=写真。特別市実現を目指す川崎市は、都道府県が小規模な市町村に対して支援を拡充できるとしたが、神奈川県は県税の減少などのデメリットを挙げ、これまでのように権限移譲で足りると訴えた。
川崎市が提案した「特別市」制度では、都道府県の区域外に新たな地方自治体「特別市」を設ける。広域自治体(道府県)に所属せず、道府県の事務と市の事務を一元的に担うことで、二重行政を完全に解消する。
川崎市は、道府県の権限移譲や調整・確認に時間がかかり、迅速で的確な政策展開に支障をきたしていると主張。まちづくりや、大規模災害対策、社会資本の老朽化への対応など、行政サービスの向上につながると訴えた。
さらに、大都市が特別市になることで、道府県は小規模な市町村に対する支援を拡充できることもメリットに挙げた。全国的に人口が減少する中で、役所の執行力を維持するため、道府県には小規模な市町村に対する十分な支援が求められるとした。
これに対し、神奈川県は、「特別市」制度は道府県を「分断」するとし、個別の権限移譲で足りると反論。税源の集中する大都市が抜けることによる巨額の財源不足、「特別市」にある県有施設の移転・移管、住民の声が反映できない恐れ、道府県の総合調整機能が失われる恐れ、広域犯罪への対応力が弱まる恐れなどをデメリットに挙げた。
提供:建通新聞社