国土交通省は、建設機械施工を自動化・遠隔化する技術の現場検証を1月24日、三好砿業(栃木県佐野市)が所有する鉱山で行った。通常の大型ダンプトラックにロボットを後付けで設置し、現場内での運搬・積み下ろしを自動化。積み込みを行う有人バックホウと無人のダンプとの連携や、緊急ブレーキ機能の動作を確認した=写真。
国交省は、建機を自動化・遠隔化することで、中長期的な深刻化が見込まれる現場人員の不足を補おうとしている。このため、2024年には自動施工の安全ルールを策定。民間企業や大学から現場を募り、検証を進めている。
24日の現場検証は、建機の整備メンテナンスを担う三洋テクニクスとロボット開発を手がけるコーワテックが連携し、東北大学がソフト開発・技術指導を実施。三好砿業が自社敷地の鉱山を検証現場として提供した。
使用した建機は、ダンプトラックに運転ロボットや障害物検知用のライダー、GNSSアンテナなどを設置したもの。実用化すれば、既存の建機に後付けの機器を設置することで自動・遠隔で操作できるようになる。
現場検証では、積み込み場所から所定の場所まで走行し、積み下ろし動作を行ってから積み込み場所へと戻り、停車するという一連の動作を自動で行った。延長約800b、高低差約30bのルートで、途中で切り返しバック走行も必要となる。自動走行時に障害物を検知して緊急ブレーキを動作させたり、遠隔操作で緊急停止させたりする機能を検証し、いずれも問題なく機能した。
自動施工の安全ルールでは、自動建機の作業エリアを他と分け、作業員や有人の建機が立ち入らないようにしている。24日の現場検証では、有人のバックホウで砕石を積み込み、無人のダンプトラックが運搬する作業を想定して検証を行った。有人・無人の建機が連携する場を安全ルールで定める「中継区域」と見なし、円滑に運用できるかを確認した。
自動施工が実用化した後も、完全に無人となる現場は限られるとみられる。当面は現場付近の作業所などでオペレーターが遠隔で監視し、緊急時に対応する運用を想定。「複数台を1人のオペレーターが運用することで、省人化につなげるのではないか」と国交省の担当者は指摘する。有人の建機と連携することで現場全体の生産性を高めるイメージだ。
今回の現場を含め、国交省は民間から公募した21者と検証を進めており、寄せられた課題や改善点を踏まえて安全ルールの見直しを検討していく。
提供:建通新聞社