国土交通省は、能登半島地震を踏まえた災害対応の充実、持続可能な道路管理の実現を目指した道路法改正案を1月24日召集の通常国会に提出する。災害発生後の初動対応を強化するため、現在は道路法に位置付けられていない道路啓開計画を法定化し、定期的な見直しも求める。技術職員が減少し、単独で管理が難しい市区町村が、都道府県や近隣の政令市・中核市に点検・修繕を代行してもらう「連携協力道路制度」を創設する。
能登半島地震では、半島部の被災地へのアクセス道路が限定される中、地震発生後おおむね2週間で主要な幹線道路の9割の道路啓開を完了した。北陸地方整備局では、大雪に備えて関係機関と連携する体制が準備されていたため、道路啓開計画が未策定の状況でも機動的に対応できた。
関係者が協議して法定の道路啓開計画を策定することで、災害時の初動対応の実効性を高める。計画は定期的に見直し、計画を踏まえて実践的な訓練を実施することも求める。26年までに道路啓開計画に位置付けられた訓練の国の実施率を100%にする目標も設ける。
平時にも利用でき、災害時には被災地にも出動できるトイレコンテナに対する占用基準を緩和し、設置費に対する無利子貸付制度も創設する。国の直轄代行制度を拡充し、地方道路公社が管理する道路の災害復旧も国が代行できるようにする。
インフラを群として捉え、効率的に管理・メンテナンスする「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(群マネ)を道路管理に適用しやすい環境を整える。技術職員がいない市区町村は全体の4分の1に上っており、マンパワーが不足している市区町村が都道府県や近隣の政令市・中核市に道路管理を代行してもらえる「連携協力道路制度」を創設する。
道路の脱炭素化も推進する。国の基本方針に基づき、道路管理者が「道路脱炭素化推進計画」を策定できる枠組みを導入する。中温化アスファルト舗装や道路照明のLED化といった脱炭素技術の活用も促進する。30年度までに国道の道路照明のLED化率を100%とすることを目指す。
改正案は2月上旬にも国会提出する見通しだ。
提供:建通新聞社