建設経済研究所と経済調査会は、2025年度の建設投資を名目値で1・9%増の75兆5800億円とする見通しをまとめた。民間建築補修投資は減少するものの、24年度補正予算の公共事業費が前年度分を上回ったため、昨年10月の推計から7000億円を上方修正した。物価の上昇傾向はさらに強まるとみているため、実質値は4131億円下方修正した。
25年度に出来高を計上する24年度補正予算の公共事業費が前年度額を上回り、25年度当初予算案でも公共事業費が前年度並みだったことから、25年度の政府分野投資は4・2%増の24兆7700億円になると予測した。実質値としても2・9%増の19兆2204億円となり、物価上昇分を織り込んでも、投資額は伸びるとしている。
25年度の民間住宅投資は2・1%増の17兆3800億円、住宅着工戸数は0・8%減の78万9400戸と予測。住宅着工戸数は横ばいで推移するものの、投資額は建設コスト上昇などの影響でわずかに増加する。持ち家は20万8400戸(1・4%減)、貸家は34万6900戸(0・9%減)、分譲住宅は22万8200戸(0・1%増)と推計している。
ただ、今年4月に全ての住宅に省エネ基準の適合が義務付けられることで、分譲の戸建て住宅の着工戸数や投資額が下振れするリスクもあるという。
民間非住宅投資は、企業の設備投資意欲が堅調だとして、3・2%増の18兆3200億円になるとした。着工床面積は、事務所が28年に都心での大量供給が見込まれているなどとして、2・6%増の622万8000平方b。工場も製造業の設備投資が伸びるとして3・2%増の751万5000平方bになると予測した。
一方、倉庫は24年度に15・9%減と大幅に減少する見通しであるため、反動で4・0%増の1026万9000平方bへと回復。電子商取引の増加や冷凍冷蔵倉庫の需要が底堅く推移すると想定している。
建築補修投資は3・2%減の15兆1100億円。政府投資が14・0%減の2兆3300億円と大きく落ち込むが、民間投資が省エネ基準の適合義務に伴う補助金政策によって0・9%減の12兆7800億円と前年度と同水準になると予測する。
24年度の建設投資は、名目値で4・3%増の74兆1600億円、実質値では0・7%増の58兆0474億円になると予測している。
提供:建通新聞社